こんにちは。

トレイルランナーズ大阪の安藤大です。

 

写真:週末のドイツは曇り雨予報のためフリー素材から映りの良い写真を選んで掲載しています。

本邦初紹介!現地からエベレスト階段レースの模様をお届けします。

 

当ブログではドイツのザクセン州に入り、“階段競争のワールドカップ”と称される『エベレスト24時間階段マラソンレース』について、大会前の町やレースの様子をお伝えするとともに、実際に出場してレポートをお届けします。

 

マラソンでもトレイルランニングでもスカイランニングレースでもない、ほとんどのメディアが注目していない、日本ではあまり知られていないユニークな大会のレポートをどうぞお楽しみにください。

 

レースのスタートは2017年4月22日土曜日の午後4時(日本時間22日土曜日午前8時)。夕方からのスタートのため数時間後には選手はヘッドライトを点けて、夜通して階段を上り下りすることになります。日中の時間よりも夜間を走る時間の方が長い。

 

レース週末の天気予報は雨。最高気温は9℃、最低気温は2℃、夜間は0℃ともう5月になろうとしているのにドイツは日本の真冬並みの寒さ。ランナーには厳しい予報に。


世界14か国から選手が参加「階段競争のワールドカップ」

 

ドイツのローカルレースとして『エベレスト24時間階段マラソンレース』の人気は高く、コースは階段とはいえ街の歴史的建造物で環境負荷のことも考えられ参加人数は制限されている(募集定員は不明)。そのため募集開始と同時に定員に達する人気(エントリーは先着順で抽選は行われていない)

 

過去には世界14ヶ国から選手が参戦。ドイツ、オーストリア、スイス、デンマーク、アラブ首長国連邦、メキシコ、アメリカ、イスラエル、ルクセンブルク、ベルギー、イギリス、スウェーデン、ポーランド、ルーマニアなど参加者のほとんどはヨーロッパ選手。


日本人は僕1人でアジア人初出場だと言われた。言われてみて、不思議はないと思った。会社に長期の休みをとって、わざわざ田舎町の階段を24時間上り下りしたい人はいないだろう。初めてのドイツ旅行であればベルリンやミュンヘンを選ぶし、日本人の性格からすればヨーロッパのもっと有名なレースを選ぶ。


このレースには素晴らしい風景はないが夢がある。


ひょんなことから日本人招待選手に

 

2017年の目標に『エベレスト24時間階段レース』を掲げ、昨年から定期的にエントリー受付開始時期をチェックしていたのだが、気づいたらあっと言う間にエントリーは締め切られていた。「この大会に出場できなかったら今年の目標がチャレンジせず未達に終わってしまう。」落ちこむよりも前に行動した。

 

 

主催者に「砂漠や北極、氷の上など世界各地の極地を走ってきたこと」 「UTMBの出場資格を2年連続で満たしたこと」などのレース戦歴に加え「どうしても出場したい」という熱いメッセージ文を添えて送った。すぐに主催者からは返事がきて「一般募集は締め切ったので、君を招待選手として受け入れたい」と予期せぬ展開になりたじろぐ。

 

 

僕は一般参加でプレッシャーなく実力を発揮したいのに、招待選手参加でわざわざプレッシャーをかけるようなことをしたくない。招待選手に選ばれても何のいいこともない。それでも方法は招待選手参加しかなさそうだったので「ありがとうございます。正式にエントリーしたいので、支払い方法などについて教えて下さい」と返したところ「エントリー費用は無料でご招待します。フォーム入力をしなくても大丈夫です。」さらには「主催者が空港までお迎えにあがります。」というメッセージをいただいてまた慌てて「ほかと同じにしてもらいたい」と特別待遇されることを一度はお断りした。住所情報だけでなく「名前や生年月日、連絡先も知らせないでいい」なんて大丈夫なのだろうかと心配になったこともあった。

 

僕が招待選手に選ばれたのは、世界トップクラスに足が速いからというのではなく「アジアから変わったヤツだな」と面白がってもらえたからだと考えている。ひょんなことから人生初の招待選手として大会に初出場することになった。それも国内ではなくいきなり海外だ。サッカーが好きなので「ドイツへの招待選手」という響きは嬉しかった。どのような理由であれ僕を選んでくれたことに対して少しでも期待に応えたいという思いが芽生え、これまでにない緊張感を感じながら毎日のトレーニングが始まった。

 

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フェニックスのTシャツの袖に日本の国旗を掲げていたら、本当に日本人招待選手に選ばれた。本気の想いは実現する。

 

階段でエベレストを登るためには?

 

階段を上り下りしてエベレストを登るということはどういうことなのか?イメージがつきにくいと思うのでここで説明。

 

JR京都駅西側の大階段。

 

段差の大きさや傾斜、路面によって難易度は変わるので簡単に比較できないが、JR京都駅西側の大階段は171段、総高低差35メートル、11階建てオフィスビルに相当する。253往復すれば43,263段でちょうど世界最高エベレスト標高と同じ標高差になる。

 

JR京都駅に行く機会のある方はぜひ階段を見上げてみて欲しい。

 

【ひと目でわかる!階段段数の比較表】

JR京都駅西側の大階段: 171段

六甲山(馬の背手前)の高倉台の急階段: 約360段

東京タワー: 500段

あべのハルカス: 1,610段

中国の万里の長城マラソン: 5,164段

エベレスト階段レース: 79,400段

※それぞれ階段段差、獲得標高は大きく異なるため単純に階段数だけでの比較となる。
 
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六甲山、馬の背手前の高倉台の階段。


累積標高8,848mD+。坂道と階段の往復ウルトラマラソン

 

累積標高8,848mD+。坂道と階段の往復で総距離はフルマラソンの2倍、80kmを超えるウルトラマラソンになるという。階段で世界最高標高まで登るということは途方もない階段数だ。目には見えないが僕の心の目には高くそびえるその山の頂きがはっきりと映っている。それだけ長時間階段を上り下りし続けた経験はないのでどうなるのかわからない。

 

オフィスや自宅マンションの階段をひたすら上り下りしトレーニング

 

この日のためにランニング練習は控えて、市内や15階建て自宅マンションの階段をひたすら上り下りしてきた。面白みに欠ける練習を継続できることが僕の強みだ。半年で体重を筋肉だけで3kgアップさせ再び減量、体脂肪率7%、体内年齢22歳、ほぼこの数値を維持している。ランニング時に脂肪は筋に取り込まれ、運動中のエネルギーとして利用される。筋肉量が多いほど脂肪が燃焼される。世界最高エベレスト標高に到達するためには、1時間あたり3,308段を登り続ける必要がある。自宅マンションは片道196段(往復392段)。マイペースで1時間で、片道3,920段(往復7,840段)、2時間で7,840段(15,680段)。1時間に3,920段なので24時間に換算して約94,080段(片道196段、往復392段、24時間)。エベレスト標高の階段数の達成のためには少なくとも17時間以上、階段を上り下りしなければならない計算だ。これはトラブルなく、休むことなく一定のリズムで階段を上り下りし続けることができた場合だ。

 

エベレスト24時間階段マラソンレースを困難にしているもの

 

階段幅は人間2人がぎりぎりすれ違えるほど。階段の上り下りに自分の前後には常にランナーがいるということ。日ごろ練習をしている階段と違って、自分だけのスペースではない。たとえスタートダッシュをしても往復コースなので、ただちに後続ランナーの後ろにつくことになる。階段の上り下りでランナーを追い抜いたり立ち止まったりするのは想像以上に体力を消耗するに違いない。。たたっとブレーキをかけずに軽快に駆け下ることは望めないだろう。ランナー渋滞の流れに身を任せてのんびりしていたら、いたずらに時間が過ぎ、タイムアウトになりかねない。レース攻略のポイントは時間の経過とともに足を攣ったり休んだり、リタイアしたりする選手が必ずでてくると思うので、参加者が減った後半にかけてが勝負だろう。

 

できるかどうかわからないことをやってみたいという気持ちはない。

 

すべて勝算があってのチャレンジなのだ。

 

自分の限界へのチャレンジではなく、可能性へのチャレンジ

 

富士山を0合目(富士浅間神社)から山頂までを山道ではなく、階段で登るだけでも決して簡単ではない。舐めてはいけないと気をひき締めている。足元は柔らかい土道ではなく固いアスファルトの階段なのだ。膝や大腿四頭筋を痛める可能性があることは想像できる。まずはナムチェバザール(3,440m)を目指し、モンブラン(4,810m)、アフリカ大陸のキリマンジャロ(5,895m)、デナリ(6,194m)、アコンカグア(6,960.8 m)と一段一段着実に登り詰めていきたい。千里の道も一歩から。僕は自分の出場したいレースを人から薦められるのでなく主体的に選び、自分の足で旅をしているという実感がある。


これは自分の限界へのチャレンジではなく、可能性へのチャレンジだ。

 

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