トレイルランナーズ大阪の安藤大です。

OSJおんたけウルトラトレイル100km。

結果は…第2関門(63km地点)でリタイアとなりました。
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横線が引かれたゼッケン。

・リタイア
リタイアした悔しさは、リタイアした者にしかわからないといいますが、これほど悔しいとは...「ここには二度と来てはいけない。」と思ったのがリタイア直後の感想。

さて、レースを振り返ります。

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ゴールゲート。くぐりたかった…
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・気になるリタイア車内。
我々の乗った車が第一陣。これから時間が進むにつれ、どんどんリタイア者(関門アウト含む)が増えてくる可能性がありますとのこと。ただ標高1,600mから麓まで行き来できる回数は限られているため、最後まで自力でゴールしてもらうことも例年あるそうです。OSJ主催大会は、「行けるところまで行けたら…」と考えている方に決して甘くないレースです。

・リタイア車の中
「リタイア者を運ぶ車。」といえば満身創痍の人、落ち込んだ人で溢れているイメージがありますが、イメージとは違いました。車内は、"リタイア仲間"のようなものができていて、全体的には明るい雰囲気。僕は悔しくて、一人うなだれていました。リタイア者の中には、100マイル優勝候補の平澤さんの姿も。周囲から、「なぜここに!?」と声をかけられ、見ていて辛そうでした。車はゴロゴロ石の転がる狭い林道を下ります。車体はガックンガックン揺れ、あちこちに体をぶつけ、すぐ真下は谷底で、脇が陥没した工事中の路面もあり、寿命が縮む思い。

・リタイア車内の出会い
日本語ぺらぺらの、とんでもイギリス人男性に出会う。「昨年のコースは...」とやたらと詳しいので聞けば、おんたけウルトラ100km出場は今年で4回目。自己ベストは11時間台で、今年63歳!走りはじめたのも56歳からで、トレイル歴もまだ4年とのこと。今回はガレガレ道で、骨折していた小指に痛みが再発。9月の八ヶ岳スーパートレイル100マイルに備え、大事をとりリタイアしたとのこと。今年のUTMFも完走されており、、パワフル。イギリスのトレイルレースについても、貴重な話を聞くことができました。日本のようにコース図や目印がない大会が多く、山頂のチェックポイントだけ発表されており、そこまでは地図片手に、各自で走るんだそうです。当然、土地勘のある地元の人が有利になると話していました。

~ここからはレースの振り返り~

・スタート5分前
1,000人近くいるので、スタート位置から学校校庭まで人が溢れだしています。けれど、30kmや40kmとは違い、100kmの長丁場だけあって、位置どりに殺到するようなことはなく、ゆるい雰囲気。僕は、最前列へ。招待選手すぐ後ろに並ぶ。最前列に並ぶ理由は、「先頭に立たずして、勝利なし。」がモットーなので。スタート直前に、UTMF日本人第二位の山屋さんや、24時間走の女子チャンピオンの坂根さんの出場が伝えられる。

今回、ウルトラトレイル・デュ・モンブラン出場資格を満たす大事なレース。制限時間は20時間もあるので完走を目的にすればよいのですが、ゴールタイムは次年度の100マイルレースの出場権だけは一応得ておこうと、14時間に設定。

・スタート5秒前
突然、興味が湧いてきました。「UTMFのトップ集団のペースはどんなものなのか?一度体験してみたい。」自分の体と対話をしながら、行けるところまで行ってみることに。もちろんオーバーペースに気をつけて。「マイペース、イーブンペース。」という声が聞こえてきますが、確かに完走や目標タイムを狙うのであればそれが一番。ただいつもとは流れを変えてみたくなったんですよね。この時のチャレンジに今でも後悔はありません。

・映像で見る以上!先頭集団のスピード
快調!夜道をキロ4分半で走ります。それでも先頭集団との差は開くばかり。特にみんな坂道が速く、小股でゆっくりというより、平地と何ら変わらないスピードで駆け上っていきます。彼らはキロ4分ペース。いや、3分台?(100kmの大会です。)しばらくして、第三集団に落ち着きました。
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・小エイド(20km地点)
1時間55分で通過。
前半の上りは、この高低図以上にありました。感覚的には、ロードであればハーフマラソン1時間30分を切るペースで飛ばしています。トレラン大阪の上級ツアーでもこんなスピードで走りません。けれど心拍数は安定し、調子よし。すぐ後ろには2人、3人と控えており、一瞬でも気を緩められない、緊張感のある状態が続きます。前半だけでも24時間走の坂根さんの走りを見たかったのですが、ここまでで一度も姿を見ていません。さらに前??

・コース
OSJ奄美大島ジャングルトレイル50kmを2倍にしたような林道コース。トレイル比率はおんたけウルトラの方が高いですが、非常に似ています。"延々と同じ景色の続く、灼熱無限ループ"と噂では聞いていましたが鬱蒼とした森、雲に包まれるおんたけの山々、標高1,000m超の壮大な林道と変化に富んでいて、楽しいコースでした。深夜0時の気温は14℃前後で、朝7時台になっても涼しく、「完走するなら、今でしょう。」というぐらい走るにはいい気候でした。ただお昼に近づくころには、気温も急上昇。

・足元
想像以上!「ガレている。」と事前情報で聞いていましたが、ほとんどの道は避け場もないぐらいにゴロゴロしたでこぼこ道。よく露天風呂で小石が敷き詰められた道があって、「痛い!痛い!」と歩く経験に近い。HOKAのような厚底シューズが大活躍するでしょう。逆に薄いシューズで望んだ方の中には、泣きながら走っていた人も。
・第一関門(32km地点)
朝4時に通過。ここから12時間以内にペース調整しながら走ることに。眠い!ハセツネや100マイルを完走した時でさえ、眠さはなかったのですが、この時は朝が近づくにつれて体の動きが鈍くなりました。ウルトラランニングレースでは珍しい、深夜0時スタートの影響でしょう。

・小エイド(47km地点)

予定より早くに到着。時間に貯金。エイドを出る直前に、後続ランナーから声をかけられました。「今年、OSJ奄美大島に出場されていましたか?ゴールで握手してもらったものです。」「おぉ!」思い出しました。ゴールした後、互いの健闘を称え合いました。思えば、その時も今日のレースと同じく雨でした。ここで再会できるとは...これだからトレイルのレースは面白い。

・50km地点
小エイドを出発してすぐ、ふっと気力が萎えました。ふらふらと、歩くことさえままならない状態に。長丁場となるウルトラランニングレースではあること。歩いたり、走ったりしながら気力の回復を図ります。ついには、近くの石に腰かけるまでになってしまいました。

・第2関門(63km地点)
朝8時に到着。どうにか12時間ペース。今年は昨年よりも距離がやや短く、GPS計測では62km。残りは37kmで、4時間程度。上りは歩いても14時間で完走できるでしょうが、その歩く気力が回復せず、ふらふらがおさまらないため、ここでリタイアの決断をしました。UTMFに出場した時のような、「何があってもゴールまでも行くよ!」という気持ちが起きませんでした。

ここ1年でUTMFを含む、ハードなウルトラマラソンレースを3つもやってきたので、少し心の休養が必要だったと思います。今の状態では、9月の信越五岳トレイルラン110kmも黄信号。年内はウルトラランニングレースがまだ4本も残っていますが、来年以降は、10時間を超えるレースは年1本、多くても2本までにとどめます。