三重奏 | 元健康優良オッサン タカさんと悪性リンパ腫の日々

元健康優良オッサン タカさんと悪性リンパ腫の日々

はじめまして
突如謎の腹痛から悪性リンパ腫を診断され、
アレヨアレヨと人生初の入院生活になったオッサンの闘病記みたいなもの

いよいよ首に管を通され、本格的な治療に入って行くオッサン。
当然オッサンの経済状況では大部屋だ。
当然、大部屋は薄いカーテンで仕切られただけの
薄布の向こう側では、どんな世界が繰り広げられているのか分からない。
基本的に、看護師さんとの会話などの声でどんな人がそこに居るのか分かるのみなのである。
テレビを見るにもイヤホンを使い、自分という存在感を消す事に終始する事になるのである。
しかし、そんな大部屋の静寂を切り裂く地鳴りの様な音が、鳴り響く。
ブゥーともボォーともいうような音である。
屁だ。
隣のカーテンを隔てた向こうで鳴った屁だ。
ともすれば、今度は対角線上の仕切りの向こうから
ブロロロというエンジン音の様な屁だ。
何という事だ。
この静寂の空間を屁だけが支配しているのである。
屁だけが自由に、そして存在を主張しているのである。
入院生活は、お通じが悪くなる。
そして酸化マグネシウムのお世話になる。
しかし、こいつが出ない!
屁ばかりが出るのである。
そしてオッサンの屁も加わって三重奏が完成するのでした。