自作の小説の公開ブログ -2ページ目

自作の小説の公開ブログ

自作の小説の公開してみます。
誤字多いと思います。


 03

 大人の屋敷を離れて空を見上げるといつの間にか太陽が沈んでいた。
時間を確認することはないけど太陽の位置を見るに四時ごろになっているだろう。
今日は大人に頼みたいことがあって来たのだが、彼には会えずに彼の代理人と言う男に出会った。
運がいいのか悪いのか昨夜に人形を処理するところを目撃していた女、いや、かつらを被っていた男だった。
おかげて目撃者を探して処理する理由がなくなったのだ。
本来昨夜逃さなかったならその場で処理していたはずなのに、夕緒と言っていたか、運がいい男だ。

‘処理と言っても記憶を変えるだけだが’

映画や小説では人を殺すのを簡単にしているけど、現実では魔術師と言え人を殺すのは容易くない。
いや、正確に言うと殺した後のことが容易くないのだ。
相手が天涯の孤児で知り合いも一人も居ない無職の人であれば簡単なほうだけど、そんな人はむしろ少ないため国から動き出すと面倒くなる。
もちろん現場ごと捏造したら可能だがそうするくらいなら相手の記憶を操作したほうが簡単だ。
それも丸ごと消すよりちょっとした暗示のほうがコストが高い。
そんな理由もあってバレた場合は記憶の暗示をかけるほうだが、だからと言って自分の記憶が偽物と知っていい気分になる人はないだろうから、あの男は運がいいのだ。
それにしても疑問に思うのは、

‘あの顔で本当に男か?’

と言う無駄なことだった。
きっとあの顔で歩いていたら十人の中で八人は後ろ向くだろう。
もちろん男性が、だ。
それでも短い髪はいいほうだけど、かつらを被っていた昨日は本当に女としか思わなかった。
それよりもどこかで見た気がするのは勘違いなのか。

‘人の顔はよく覚えられないんだよな’

坂道を歩きながらまたその顔を思い出してみるけど、まもなく出た商店街の店に目を奪われ考えていたことは散って行く。

‘なにを食べようかな’

ちょっと庶民っぽい商店街だが、それがまたいいものだろ。
今はどんどんなくなってる昔の景色。
ここもいつかこの先にある再開発された大きな商店街のように変わるだろ。
変わると言うことは寂しいものだな、と思いながら近くの店に入る。
中はちょっと狭いけどどう見ても中華料理店としか見えない店だった。
席に座ってメニューを見る。
中華料理店らしい料理がいっぱいあるが、麻婆豆腐だけは頼みたくない。

‘どこかの町で入った店の麻婆豆腐はやばかったからな’

人形術師の痕跡を辿った途中に訪れた町。

あれは人が食べれるものではなかった。
そんな苦しかった思い出をしながら酢豚を頼むのであった。

 その後、ゆっくりと酢豚を食べて近くのホテルに入り休んだ後六時ごろにホテルを抜け出した。
三美市に来たのも一週間くらい。
着いてから一日も休まずに夜になると人形が現れる。
もちろんただの人形ではなく殺人機械である。
そういうことはこの町に人形術師が居る可能性が高い。
それどころか人形が持った魔力の実とこの土地の魔力の実は似ている。
問題は誰かわからないため一々歩きながら人形が造られたところを探すしかない。
しかし相手もバカではないので普通に歩く時も魔力を感じられるような真似はしないだろ。
だから大人に頼ろうとしたのだが、既に大人は亡くなりその跡継ぎのような者は魔術を知らなかったという。
何事にも完璧な爺さんだから彼に魔術も教えず代理人として立てたのは理由があってのことだとは思うが、困ったものだ。
まあ、単に彼が他人のお金に興味が無いからと言う理由だったかも知れないが。

‘俺ならためらいなく使っているだろうな’

噂には、その家の地下には国が動くかも知れないくらいの資料で眠っているらしい。
ただし生前かかった魔術のせいで家の正式な持ち主ではない人が地下に入ったら全部燃やしつくと言う話を聴いたことがある。
それを手に入れるためにきっと今まで何十、いや、何百人を超える奴らがあの家を狙ったはずだ。
そのような屋敷を処分せずに今まで持っているのを見たら彼はお金の目的ではないってことだろ。
そんなことを考えながら歩いていると繁華街が出てくる。
今までいたところから二十年を超えたのではないかと思えるくらいの新しい道になったいる。
実際建物の年式を見ると二十年も超える差があるだろ。
しかし建物が新しくなったとは言え、昔から流れる魔力の霊脈は変わらないのでここに来てからその霊脈を調べていた。
昨日の夜も近くの霊脈を調べている途中に人形に襲われ、気が付いたら大人の代理人である夕緒にバレてしまったのだ。

‘そういえばあの女装ってなんだったんだろ’

ふっと昨日の夕緒の姿を思い出した。
腰まで来る長い黒髪にキャメル色のコートを着て黒いズボンを履いていた。
そう、まるで今ちょっと離れた前を歩いてるあの後姿とそっくりだ。
昨日と違うのはその左側に女、いや、昨日のあれで外見だけで性別を判断することは愚かってことが分かった。
とにかく左側には彼と似たコートを着ていて目立つ青い色の短髪の人が一緒に歩いていた。
見たのに見ないふりをするのもおかしいと思い近づいて夕緒の右肩に手を伸ばす。

“お兄さん、偶然だ……な?”

言葉が途中に切れようとしたのは他ではなく、

“あんた、なに?誰の許可取って私の女に手出すわけ?”

夕緒の左に立っていた人がいつの間にか俺と夕緒の間に立って、俺の手首を握ったからだ。
力は強くないけど自分が出せる最大限の力を出したようだ。

“落ち着いて、モミジ。知り合いだから。って言うか誰がお前の女だ、誰が”

夕緒の言葉にモミジって呼ばれた彼女が俺の腕を捨てるように放した。
しかしその眼は今も敵を見ているようだ。

“はは、知り合いのお兄さんが見えてうっかり手を伸ばしたけど、悪いな”

言い訳のような俺の言葉を聴いてはいるのかと思うくらい、彼女は俺を無視したまま夕緒に話をかける。

“こんなチンピラのように金髪に染める男といつ知り合ったの?私が知っている限りこんな奴と知り合った覚えはないけど。それより私と居る時は私が依頼人だから私ので合ってるよね?”

“いやいや、生まれてから金髪だが。それに青に染めた君が言うのか?”

“まあ、仕事の関係でね。僕だって知りたくて知り合ったわけでもないし。しかしお前は僕のお母さんですか?あと依頼人だし主じゃないから、その論理おかしいよ”

ちょっと突っ込んで見たけど俺を見る目が怖いのはそのままだった。
そんな彼女を止めるように夕緒が彼女の後ろから右側に出て彼女の手を握って俺とのちょっと距離を開ける。
ちなみに彼女の背は低かったので夕緒が移動しなくても不便はなかった。

“で、なんか用?”

“うん?いや、特にないけど。ところでいつから俺たちが用がないと話しかけちゃいけない間になったんだ?冷たいね、お兄さん”

“真似しないで、それもう私が言ったから。用もないのにデートの邪魔とか死ねばいいのに。いや、殺してもいい?”

“ははは、これはまた怖い女だな。お兄さんの彼女か?”

中々怖いことを言う女を笑いながら聞くと二人から全然同じ返事が返ってきた。

““違う””

“夕君のほうが私の彼女”

“首都圏から来た依頼人。ちなみにデートじゃなくて依頼中”

しかしその後の意見はちょっと違ったようだ。
彼女の発音で彼が彼女のことをバカを見る目をしている。
あほか、こいつは、とでも思っているのだろ。

“依頼のためにわざわざ来たのか?結構有名人だね、お兄さん”

“まあ、元々高校の知り合いだったからね。大学の休みで戻って来たついでらしい。”

そんなことを言っていると彼女がそんな夕緒の手を握る。

“行こう、夕君。いつまでこんなチンピラと話すわけ”

五分どころか、もう一分も耐えなさそうに彼の手を引っ張る。

“あ、わかった、わかったって。じゃあまた”

“はは、急いでる人を捕まって悪いな。デート楽しめよ”

引っ張られる夕緒を見て手を振る。
もちろん彼が後ろ向くことはなかったが。
それにしても大学の休みで戻って来たか。
一ヶ月前くらい。
ちょうど人形術師の痕跡がここから始まったくらいの期間だ。
その時に町に来た人は他にもいるだろうけど容疑者の一人と思っていいだろ。

“あの男が俺に幸運を持って来たかも知れないな”

うっかり出した独り言を聴いたのか、歩きながらこっちを見つめる人の視線を感じ空咳をしてその場を離れるのであった。

 時間は流れ、今日も特に見つけたものはなく夜になった午後九時ごろ。
繁華街を歩く途中、誰かの視線を感じる。
それは単純に通り過ぎる人を見るのではなく、金髪の外国人が不思議で見つめるものでもなく、相手に敵意を込め、呪いを発しているそんなものだった。

“今日も、か”

この一週間の間、一日も休まず続いてる襲撃に対してはちょっと遅い感があるけど、今日見つけたいい場所を思い出して走る。
走っていたSBJ、彼を見た一人の市民は後日、まるで五年ぶりに彼女に会いに行くと思いましたけど、と言ったらしい。

 開発されてない商店街の間にある小さな公園、名付けられた公園と言うには子供の遊び場に近い場所について脚を止める。
丘の途中にある公園の通常の入り口は北と東にあり、小さな公園を照らすのは中央に立っている灯り一つだけ。
入り口の間にはちょっと高めの木があり、そのほかは崖っぷちになっている。
なので公園から見つめると開発地区が見えるためか、昼には暇そうに見える人たちが一人や二人座ってないわけでもないけど、時間も時間なので人の姿は見えない。
人を目を避けるには最適な空間。
もちろん今時監視カメラがないところはないけど、操作する機器が一つしかないと言うことで十分だ。

‘既に用意した場所なので人の認識を散らせる魔術は使っておいたけど、万が一って可能性があるから’

昨夜の夕緒のような目撃者が出来たら困る、と思い指パッチンをする。
それにより中央にあった灯りがゆっくりと光を失っていく。
月には雲がかかり、それにちょっとした魔術でそれここ闇が積もった場所に、足音がある。
狙っていた相手が来たのかと思ったら、相手の声が聴こえて来る。

“なんだ、ここなんでこんなに真っ暗なの?電灯消えたのかな?”

“いや、ちょっと消したからな。それにしても驚いたな。ここにはどうした?遊びでも来たか、お兄さん”

魔術で強化した視力で闇の中でも彼の姿を把握した状態で答える。
しかし彼は闇の中で俺の姿が見えないはずだけど声で把握したのかこっちを見ながら話す。

“ちょうど帰っていたら後姿を見つけたからな。忙しそうだったから人形でも現れたのかな、と思って”

“はは、それはありがたいな。でも大丈夫か?もちろん俺には朝飯前だけど。魔術を使えないお兄さんは死ぬかも知れないぞ?あ、もう夜だから夜飯前か?ははは”

俺のギャグが通ったのか間抜けな表情を浮かぶ彼。

“ギャグ?全然面白くないし。それより暗くて敵が来ても戦えないんじゃないの?”

“魔術師をなんて思ってるんだ、お兄さん。今君の髪が相変わらず長いってことも見えるから。やっぱ趣味か?”

“趣味なわけあるか?!”

“ははは、なのに帰りもその姿なのか、苦労をしてるね。まあ、とにかくわかっただろ?今、俺の目は通り過ぎているフクロウも兄さまって呼ぶくらいだぞ”

“そう?じゃあむしろ――”

夕緒がなにかを言おうとしてる途中、新しい者の登場を気付いたのか口を閉じる。
足音もほぼ出せずに、地から出たかのように、人形はそこに居た。
夕緒と俺が入って来た東口ではなく、北口の方に立っている。
小さい公園なので、敵との距離は十メートルくらいしかない。
ちょうど観光バス一台入るくらいの距離。
魔術で強化した脚だとすぐにでも着く、人間でない人形の脚だと一度のジャンプで着くくらいの距離。
もう準備するものはなく、することは決まっている。
ポケットから出したナイフを右手に持って、そのまま走りかけ――

“うっ”

その瞬間、視野が真っ白に燃え上がった。

“なんだ?!閃光弾?!おい、大丈夫か?!”

隣に居た夕緒の声が聴こえる。
どうやら光で瞬間的に視野を制限するつもりだったらしいけど、視力の強化によって視神経が燃えたように何も見えない深刻な状態になってしまった。
魔力で視神経を回復するが治療の専門ではないため時間がかかる。
この状態で人形が殺しに来たら止めないどころか、そのまま殺されるだろ。
それを人形も知っているのか、地を蹴る音が聴こえ、そのまま人形の手が俺の頭に向かえ、俺は脳を刺されリタイアする。
パッ!

“おい、大丈夫なのか”

なにかを蹴る音と共に人形と俺の間から夕緒の気配がする。
どうやら想像と違いまだ俺の脳は無事のようだ。

“ははは、どうやら助けられたようだな”

“お金貰うからな、危険手当まで”

“やれやれ。助けてお金取るつもりだったのか。こうなった以上いくらでもいいから時間稼いでくれよな、お兄さん”

俺の言葉のどこが面白かったのか、ギャグにも笑ってなかった彼が笑ってから口を開けた。

“ああ。時間を稼ぐのはいいが……。別に、アレを倒してしまっても構わんのだろ?”

“それどう聴いても真似と言うか?そのまま使――”

“まあまあ、とにかくあなたの町の便利屋さん、ゆうちょ工務店。こんかいの件、引き受けました。よろしく、依頼人さん”

彼の言葉に返しで、

“ああ、安心した”

と名台詞を言ってみたが、完全に無視する夕緒の声が聴こえる。

“あれ僕の攻撃通ってるの?さっきの結構いいところ入ったと思ったけど平然と立ってるよ?”

どうやら人形に蹴りを一発食らわせたようだけど一般人の攻撃にダメージが入るわけなかった。
それでも何故か人形は立ったまま動いてないようだ。

“はは、人形のくせに戸惑ったのか?あれは魔力で強化されているから蹴りではなんのダメージも入らないぞ。だから時間稼ぎってわけだ、はははは”

“笑う場合か?!ならせめて光でもつけよ、スマホも電源入らないし。これもあんたのせいだろ?”

“お兄さん、それはただの電池切れじゃないか?俺が使ったのは闇の濃度を濃くする魔術と中央の電灯、そして監視カメラしか触ってないぞ。そして明るくしてあげたくても俺の魔術は目で認識してるからさ。目が見えないとダメなんだよね、ははは”

実際魔術の解除には問題ないが、そうなると一気に魔術が解け監視カメラの操作も、人の認識を散るのもなくなるのが問題だ。
特に監視カメラのほうでバレた場合、下手したら教会が動くかも知れない。
そうなるとかなり複雑になる。
どうしてもこのまま解決したいわけだが――

“魔術ってものは不便だな。万能と思ったのにな。まあ、できないことに期待しても無駄か。集中したら見えるかも知れないしな”

彼がぶつぶつと言って口を閉じる。
魔術がかかっているのに集中したところで見えるかよ、と言いたかったけど、水を差す時間があれば目の回復を優先しよ。
静けさが漂う。
人形と夕緒、どっちも動きがなく静かだったのも一瞬間、

“警告、警告します”

ロンドンであった機械人間の声と似たような音が聴こえてきた。
今まで一度も聴いたとこがなかったけど、一応喋る機能があったようだ。

“ターゲット、魔術師SBJ、の除去を邪魔する、者は敵と判断、します”

夕緒の声は聴こえず人形は続けて話を続いてく。

“もし、間違いであった場合、十秒以内に、半径五十メートル以内から、話せてください。ジュ――”

多分十と言おうとしたはずの人形の言葉の後ろに続くのは機械の音声ではなく、なにかの肉が潰されたような音だった。
そして機械音は止まった。

“おい、お兄さん、大丈夫か?”

俺の問いに対した返事が返って来ない。
人形が彼の攻撃を止める途中で彼を殺したのではないか、と思えるくらい大きかった破裂音。
それを自分の目で確認しろとでも言うように、視神経が回復され目を開けると、

“お、目戻って来た?”

魔術が解除され灯りが付いて彼の姿が目に入る。
さっきまで人形の声が聴こえていた、俺から五メートルくらい離れたところに彼は立っていた。
彼の足の下には人形に思われるものを踏んでいた。

“もしかして頭がなくても動くかな、と思って。一応踏んでいたよ”

彼が言う通りに人形の体の上、首を含めてその上はどこに行ったのか消えていて首がついてたところでは血、正確には人形の持ち主がわざと入れたはずのものが流れていた。

“魔術でも使った?どうやってこんなに派手に壊してるんだ”

“あの人から学んだけどね。人の相手には使うな、と言われたから、実際に使ってのは初めてで力の調節ができなかったんだよ”

一体何を教えたんだ、あの爺さん、と言いたいのを我慢して周りを見回る。
人形とは言え、他の人が見るには人間の頭と同じなのでちゃんと探して処理しないと大変なことになる。

“あ、あったな”

ちょっと、と言うには結構離れたところに落ちていた。
中央の電灯から遠くて形しか見えないものを見つけたら、ちょうど夕緒も見つけたようでそこに向かう。

“人形ってどんな顔してるのか気になるな”

いつの間にか雲が流れ月が姿を現れ、中央の電灯でも暗くて見えなかった公園が明るくなる。
そのせいか彼が人形の頭を持ち上げ、あれ、と声を出して、

“どこかで見た顔な気がするけど。あんた、知らない?”

と俺の方に向かって人形の顔を見せる。
そこには五年前からどんどん人の顔に近くなって、最近になってはもう人としか思えない顔があった。
しかし普段見ていた時と違うことがあるとしたら、

“おいおい、これはないだろ、はははは!”

きっと俺が付いた環境だろ。
今の状況が面白すぎて大きく笑うと、彼が聞いてくる。

“なんだ、どうした?”

その問いに答えてあげるのは一つだけ。

“お兄さん、それあったら鏡、要らなさそうだな”

目の前の女、いや、女性の顔をしていた人形の顔は、今目の前にいる男、夕緒の顔とそっくりだった。

“いくら俺が人の顔を覚えるのが苦手とはしても、こんなことが待っているとは。いい教えだな、はは。ありがたい、次からは人の顔を覚えるように気を付けるとしよ”

俺の言葉に彼も気付いたのか、自分の手に持った顔をじっと見つめる。

“はあ、これが僕だって?全然わからないけど”

どうやら本人は否定的だったけど、置いてみると全く違うところを見つけられないくらいそっくりの彼と彼女(?)だった。