【読むパワーポイント(9)】 スライドプレゼンテーションの3つのスタイル | パワポ部

【読むパワーポイント(9)】 スライドプレゼンテーションの3つのスタイル


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5年前から、ここ日本でもプレゼンへの関心が高まってきたように感じます。

 

『プレゼンテーションzen』のヒット。

ジョブズのプレゼンへの熱狂。

TED』のテレビ放映。

その間、草の根で増殖するライトニングトーク。

これらのムーブメントを経て、全国民が注目した「五輪招致プレゼン」。

 

まさにいま、日本はプレゼンの黎明期を迎えています。


それに伴い、プレゼンの方法論があふれかえることになりました。


ネットの記事。

雑誌の特集。

プレゼン本。

テレビ番組の企画。

 

この状況自体は、個人的には大歓迎。

プレゼンに関するいろんな考え方・テクニックに触れられて、

それはそれは勉強になります。

 

世にあまたあふれるプレゼンの方法論。

個人的には大歓迎なのですが、幾ばくか危惧する部分もあります。

 

それは、「方法論」が「べき論」になること。

 

まだプレゼン黎明期にさしかかったばかりの日本。

「べき論」で戦い、プレゼンの可能性を画一化しまってはモッタイナイ。

「べき論」で思考を狭めてしまうのではなく、

いろんなプレゼンの可能性を拡げ、新しい手法を試してみること。

それが結果にアプローチし、改善にチャレンジする姿勢をつくります。

 

ですから、みなさんは「べき論」に囚われず、

いろんなプレゼン手法に刺激を受け、取り入れてほしいと思います。

 

さて。

あらためてプレゼンを見渡してみたところ、

こういう分類の仕方もあるのではないかと考えます。

 

【プレゼンテーションのスタイル】

 

A.スライドを使わないプレゼン

B.スライドを使うプレゼン

1) プレゼンターがメイン

2) スライドがメイン

3) 1と2を合わせたもの

 

まず、プレゼンには「スライドを使わないプレゼン」と「スライドを使うプレゼン」があります。

スライドを使わないプレゼンは、「演説」や「講演」のように、

話術のみ、あるいは話術+板書+小道具的な要素で成り立ちます。

このスタイルでは、「スピーチ」のチカラ(構成含む)が求められます。

歴史に残るプレゼンは、このスタイルが多いですね。

 

一方、スライドを使うプレゼンには、「3つのスタイル」があります。

 

1) プレゼンターがメイン

2) スライドがメイン

3) 1と2を合わせたもの

 

3つそれぞれ、スライドのつくりかたが変わってきます。

簡単に説明しましょう。

 

まず、「1)プレゼンターがメイン」のプレゼン。

この場合、スライドはプレゼンターのスピーチをサポートし、

場を演出する背景となります。

たとえば、プレゼンの流れに即した「フレーズ(キーワード)」

のみがスライドに表示されているとか、

オーディエンスのイメージを助けるビジュアル(写真・図式)

だけが表示されているとか。

このタイプのプレゼンは、企業のトップ、業界のエキスパートなど、

“個”が際立つプレゼンに適しています。

 

次に、「2) スライドがメイン」のプレゼン。

この場合、プレゼンターはスライドの良きナビゲーターとなる必要があります。

また、スライドは見やすく、わかりやすく、そして、

オーディエンスの興味や想像をかき立てるものでなければなりません。

一般的に行われているビジネスプレゼンにはこのタイプのものが多いですが、

スライドは詰め込み型”“文章・箇条書き型のものがほとんどで、

必ずしも魅力的なスライドになっていないのが現状です。

 

最後に、上記の「1)と2)を合わせた」プレゼン。

あるときはスピーチを中心に、あるときはスライドを中心に、

そしてまたあるときはプレゼンターとスライドがコラボレーションし、

起伏に富んだエキサイティングなプレゼンテーションが可能となります。

プレゼンにエンターテインメントを取り入れた、強く印象に焼き付くプレゼン、

と言えるでしょう。

 

これら3つのスライドプレゼンのタイプは、

プレゼンの内容によって使い分けることが大切。

スライドのつくりかたがそれぞれ異なってくるので、

あらかじめプレゼンのタイプを明確にしておく必要があります。

 

いずれにせよ、スライドが魅力的でないと、

スライドを使う意味がなくなります。

オーディエンスが身を乗り出すプレゼンのために、

スライドの見せ方を工夫してみましょう。

 

河合浩之