【読むパワーポイント】 オーディエンス“に”耳を澄ます | パワポ部

【読むパワーポイント】 オーディエンス“に”耳を澄ます


たまには文字だけで、パワーポイントを語ってみよう。

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読むパワーポイント(2)

オーディエンス“に”耳を澄ます


みなさん、「Yahoo!リアルタイム検索」はご存じですか?

↓これですこれ。
http://search.yahoo.co.jp/realtime

Yahoo!リアルタイム検索は、Twitterのツイートをほぼリアルタイムで検索できるサービスです。

では、この検索窓に「パワポ」と入れて検索してみてください。

時間帯にかかわらず、たくさんのツイートが表示されるはずです。

そして、きっとあることに気づくでしょう。

それは、発言者のほとんどが、

「学生」

という事実。

ゼミのレポートや、授業での発表に使うパワーポイント資料を

みんなブツクサと呪いの言葉を吐きながら、やっつけています。

パワーポイントといえばビジネスユースのイメージが強く、

事実、数多のビジネスパーソンがパワーポイントに触れているわけですが、

いまや教育現場でも当たり前のようにパワーポイントが使われているようです。

教育現場におけるパワーポイントの普及。

これは、

プレゼン教育の普及

といっても過言ではないでしょう。

それはもはや「大学でプレゼンを学ぶ」というレベルではありません。

いまや中学校の学習指導要領に、

「ソフトウェアを選択して、表現や発信」
「情報を収集,判断,処理し、発信」

といった、まさにプレゼンテーション能力についての学びが盛り込まれているのです。

そういえば、息子の中学受験でいくつか学校説明会に参加しましたが、

どの中学校の先生も、

「私たちの中学校はプレゼン教育にチカラを入れます!」

とおっしゃっていました。

世界の人々と渡り合えるプレゼン能力。

それがこれからの「国際的日本人」にとって不可欠の能力なのでしょう。



プレゼンテーション能力を高める――

それは単純に歓迎すべき傾向です。

考えをちゃんと伝える。

アイデアをちゃんと伝える。

方法をちゃんと伝える。

想いをちゃんと伝える。

そこから人は動きだし、世の中は変わっていきます。

まずは「伝える」こと。

簡単なようで、実はとってもむずかしい。

その「むずかしい」ってことに、世の中が気づいたのでしょう。



さて、ここからが本題。

日本でもプレゼン教育が今後盛んになっていくわけですが、

プレゼンの教え方として間違ってほしくないことがあります。

それは、

「話したいことを話す」のではなく、あくまでも

「聴きたいことに応える」というスタンス。

プレゼンを学ぶことによって、「聴くチカラ」が身につくような、

そんなプレゼン教育を推し進めていただきたい、

そう思うわけです。

主役は話し手ではなく聴き手、

プレゼンターではなくオーディエンスである、と。



先ほどは「考えをちゃんと伝える」というように

「伝える」という書き方をしましたが、

普段はできるだけ「伝える」とは書かず、「伝わる」と書くように意識しています。

なぜか?

以前にも書きましたが

プレゼンは“オーディエンス視点”で考える必要があるからです。

プレゼンの話し手(プレゼンター)は、

プレゼンの聴き手(オーディエンス)のことをしっかり考えないと、

伝わるプレゼンにはならないのです。

よくある喩えですが、“コミュニケーションはキャッチボール”です。

投げないと始まらない。

でも、受け手がいないと成り立たない。

受けられない球を投げても“キャッチ”はできません。

そう、“ピッチ(投げる)ボール”ではなく、あくまでも

“キャッチ(受ける)ボール”。

主体は「受け手」なのです。

『すごプレ』(青志社)という本のなかで僕は、

「プレゼンは“イベント”である」

と定義しました。

イベントは「来場者(=オーディエンス)」がなければ始まりません。

「時間」と「場所」という条件下において、オーディエンスに足を運んでもらい、

オーディエンスに楽しんでもらわなければ、

イベントは成功しません。

そう、すべてをオーディエンス視点でつくりあげなければ、

プレゼンは成功しないのです。



「プレゼンの教育」ということは、ややもすれば

「話し手主体の教育」になりがちな気がします。

このような教育のなかでは、

「言いたいことを詰め込む」

という間違ったパワーポイントの使い方が教えられるでしょう。

そうではなく、あくまでも「聴き手主体の教育」を。

パワーポイントは、

「聴き手の知りたいことを示す」

ためのツールです。

プレゼンターとして「言いたいこと」は、

すべてオーディエンスとして「知りたいこと」に変換する必要があります。

また、オーディエンスを「楽しませる」ことも大切でしょう。

「オーディエンスが耳を澄ますプレゼン」のために、

「オーディエンスに耳を澄ますプレゼン教育」を。

プレゼンが育む聴くチカラ。

それが世界を変えていくチカラになるでしょう。


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