自分の物差しになる「美しさ」とは?

1年程前に兵庫県神戸市中央区にある「横山木彫所」に訪ねて撮影させて頂いたことがありました。

横山木彫所は、色々な家具屋さんから「家具の装飾部分」を請け負う工房です。

沢山の鑿がご本人の回りをぐるりと囲み、その装飾部分に応じて素早く変えていく様は、とても美しく素晴らしいものだと思いました。

その後、播州三木刃物に出向くことが多くなりご無沙汰していたのですが、ある老舗の喫茶店(エデン)で手製の彫刻が施された窓飾りを観てふと思いだし、連絡をいたしました。

今も、お一人で頑張っていらっしゃるだろうと思っていたのですが、残念なことに受注が殆どなく全然関係のない仕事に出ていらっしゃるようでした。

電話に出られたのは、奥様で「私が嫁いだ頃には、多くの職人さんがいたんですよ。これも時代の変化なんでしょうか。でもね。手彫りは長持ちするんですよ。」

奥様のお話にご主人のお仕事の価値をしっかり理解されている様子が窺われ、心に沁みました。その後も「手彫りは長持ちする」と繰り返し仰っていました。

私は深く後悔しています。どうして1年前にもっと続けて撮影しなかったのか。

今からでもまた、月に1回は連絡して、受注がある時に撮影させていただく所存です。

なくなると分かって初めてその価値を知る___私は大馬鹿者です。