ええ話 | PowerLinker→Libio開発録

ええ話

最近姉がマンガを買わなくなった。
いつも姉の買うのを楽しみにしてたのに。
「買ってよ!」と言っても「自分で買えばいいじゃん」とそっけなくされた。


居間でぼんやりテレビを眺めていると、料理番組でケーキを作ってた。
そのとき母がさつまいもをふかして持ってきてくれたが、
ケーキなんて久しく食べてないなーと溜息が出た。
ケーキなんて誕生日かクリスマスくらいだなぁ・・・と思っていた

でも、そろそろ姉の誕生日だった!
本人は全然そういうのを騒ぐ人じゃなかったから気付かなかった。
これでケーキが食べられる!
ということで、母とこっそり誕生パーティーを企画することにした。


祖父や祖母、父まで巻き込んでの大がかりな計画。
祖父は隠し芸をする!と張り切っている。
姉が風呂に入っている間に披露してもらうと、ただの腹踊りだった
姉が戻ってくると途端に祖父は「腹が痛いー」と言い、腹を押さえて部屋に戻って行った。

バレていないはずだったのだが、姉は気まずい雰囲気で話を切り出した。

「実は明日、好きなアーティストの野外ライブがあるから行ってくる・・・」


いよいよ明日は姉の誕生日なのに。
今まで準備してたのに。
前日の夜に言うなんて。

母は猛反対。
「あんたまだ11歳でしょ!夜遅くにそんなの一人で行かせられません!
第一お金はどうするの?」

しかし姉は友人と友人のお母さんの3人で行くのだという。
お金はこのためにコツコツと貯めていたのだそうだ。マンガを買っていなかったわけだ。
「しかもみんな気づいてないかもしれないけど、明日は私の誕生日なの。
誕生日ぐらい好きにさせてよ。」

口論は続いたが、
「もう勝手にすれば?」「勝手にさせてもらうわ」となって終わった。

翌日は母以外の家族で姉を送り出し、結局普通の食事になった。

とその時、外からすごい雨音が聴こえてきた
野外ライブだったから、姉が心配になってきた。
母も心配になって問い合わせてみると、ライブは中止になったのだそうだ。

当時は携帯電話なんてものはなかったから、
母は姉のことが気が気で仕方がない様子だった。
姉はさぞかし残念だっただろう。
母は駅まで傘を持って迎えに行った。

その時残りの家族は、パーティーの準備を始めていた
父はケーキを買いに行き、祖母と私は飾り付け。
祖父はやっぱり腹になんか書いていた。


二人が戻ってくると、家族はクラッカーで暖かく迎えた。
二人も仲直りしていた様子。
姉は元気とは言えなかったが、突然のパーティーには驚いていた。

ケーキをみんなで食べて、
姉は「こういう誕生日の方がいいね」と言ってくれた。

「雨降って地固まるとはこのことである!」
と、キートン山田がナレーションをして締めくくったちびまる子ちゃんでした。
いい話でしょ?

ちなみにともぞうの腹踊りはなんかウケてたよ。