検査から1か月後、12月になってから結果を聞きに行きました。
この時は11時の予約でした。私は自分の病気で病院に行くときはいつも一人で行くのですが、乳腺外科の待合室で待っていると意外と2人で来られている方が多い、ご夫婦と思われる方、あるいは女性二人で来られている方、聞くとはなしに会話が漏れてきます。とても深刻そうな方たちもいらして、何だか目をそむけたくなる気分でした。相当に長い時間待ち、2時近くに名前を呼ばれました。待つだけでくたびれてしまいます。
今回は若い女性の医師ではなく、中年の男性医師でした。
先生が、図を書いて検査した場所を示してくれました。
大きく2か所を検査し、まず、1か所目は特に悪い細胞はみつかりませんでした。と言われました。そして、2か所目からはがん細胞らしきものが見つかりましたと言われ、非浸潤性乳がんの疑いと書かれました。
わたしは、一瞬、“疑い”ってどういう意味なのか理解できませんでした。
ここまで検査しても、「乳がん」とはっきり言われなかったことにどう反応してよいかわからず、また、待ちくたびれていたせいか頭が真っ白になりました。
この時点ではしこりも感じず、また、自覚症状もなく、信じられないという気持ちでした。それに、先生はどちらかというとパソコンの画面を見ていて、一切私の乳房の触診をしようとはされませんでした。私が「信じられない」という表情をしていたら、先生が、どちらにしても治療をするならば詳しい病状を知るために更に検査が必要なので、それをやりましょう、と言われ、CTとMRIの予約を入れました。予約は年明けて1月になってからでした。
この時、「乳がんですから、急いで治療を始めましょう」と言われなかったことも、この病気の深刻さをあいまいにされてしまったと今は感じています。本当に乳がんだったとしても、急いで治療をしなければならないような深刻な病状ではないのかな、とも思いました。
それでも、クリニックでの検査の結果に比べれば、疑いはずっと濃くなっていると感じました。自分でもちゃんと病気のことを知る必要があるという思いが湧いてきました。
この時にもう一つ感じたことがあります。私の予約は11時でしたが、私の後にも予約の方たちが待っていました。先生は午前中からずっと診察をされていて、昼休みもされず、2時過ぎでもまだ診察が続いているようでした。どうして、時間内に診察できない程、沢山の予約を入れているのだろうか、これだけ沢山の患者を一人の医師が診ないと、この病院の経営は成り立たないのだろうか、こんなブラックな労働をさせられている医師は、大丈夫なんだろうかなどなど、の疑問が湧きました。大学病院は待つのが当たり前かも知れませんが、これで予約の意味があるのかとも思いました。