70歳のアメリカ人夫は少し潔癖気味なところがある。
そう言えば、アメリカに移住して間もない頃、家族でモール内のサンドイッチ屋さんに立ち寄ったときのこと。
カウンター越しに眺めていた夫は、店員が手袋を替えずに会計後そのまま調理を始めたのを見て激怒し、即座に注意して自分の分はキャンセル。こんな不潔な店の物は食べるな!とテーブルの私たちにも一喝した。
私と娘は、まあ、そんなこともあるよねと静かに流したかったのに対し、当時高校生だった息子は、なぜか無言のまま。(やがてその意味がわかることに)
夫は終始、駄目なものは駄目の一点張り。正論だけど、家族の温度差が際立った一幕だった。
昨年、他州に住む息子の家を訪れたときのこと。
滞在中、食事の支度をする私の背後に、何やら視線を感じて振り向くと、そこには、じっと私の手元を凝視している息子の姿が(笑)。
彼の指南によると、パンやハム、チーズなど、それぞれのパッケージを開けるたびに手洗いをするのが基本。ハムやチーズは素手で触らず、お箸かトングを使って取り出すこと。
たしかに、言われてみれば衛生的でごもっともなことばかり。でも、そのこだわりぶりが夫そっくりで、思わず苦笑した。それに、衛生哲学で諭して来るからこちらに有無を言わせない圧力がある。
まさか息子の中に第二の夫を見ることになるとはー!😂
やっぱり血は争えないものです。
あのとき口をつぐんでいたのは、息子なりの静かな賛同表明。完全に夫サイドだったから。
それ、よそのお宅でやったら完全にアウトだからねと言ったら、「そんなこと、ちゃんとわかってるよ」と、少しむっとした様子で返されました。
お箸の使い方は私より上手だし、お風呂も大好き。日本の美容院を思い出しては「あのマッサージは天国だった」としみじみ語る。昔、駅でゴミ箱をあさる女性に出くわして、思わず財布の中身を全部差し出したことも。
根っからの善人なのです。