今日、ピットを覗くと・・・
新ちゃん、歯医者さんのようにリューターを持ってポートを拝んでいました。
シリンダーヘッドのポート研磨。
そう聞くと「チューニング」のメニューのように聞こえますが。
実は違う・・・と僕は思います。
少し多気筒のキャブの同調と意味合いは似ているような気もします。
シリンダーヘッドは鋳物で造られています。
最近のシリンダーヘッドは水冷になって、色んなところに通路があります。
中子(なかご)って知っていますか?
鋳物の中空部を作るために生型と別に使われる鋳型です。
芯、またはコアとも言いいますね。
鋳物の内面を作るのが目的であるので、生型の中におかれるんです。
すっごく頭のいいエンジン設計屋が図面を書いて、ポートの経路を描きます。
その図面でのパワーは100%なのです。
でも実際に型の中に鋳物を流し込む。
中子を使ってポートの経路も造る。
もちろん図面に忠実にね。
でも出来上がったポートはバルブシートの面と少しズレが生じているエンジンがほとんどです。
だから図面で100%のパワーでも実際は90%いくかどうか・・・。
110%の過剰設計をして、実際は100%のパワーが出ていると思います。
時々聞きます。
「僕のシリンダーヘッドのポート、鏡面仕上げだよ!」
ここからは、あくまでも僕たちの考えです。
空気とガソリンを霧状態にしてシリンダーヘッドに送り込む。
空気の中にガソリンをほどよく混ぜてあげなければ「混合気」ではありません。
あのポートの表面のザラザラ(鋳物って感じ)が点になったガソリンをかき混ぜて、
そして空気と混ぜてくれる。
タコ焼きの粉を混ぜる、あの混ぜ具合と同じ(って感じがします)
だから燃焼効率の高い「混合器」
だからおいしく焼きあがった「たこ焼き」って具合ですかね(笑)
鏡面仕上げってどうなん?て思います。
それよりのバルブシートの位置とポートの経路のズレ。
このズレの段差をなくしてあげるのが「ポート研磨」かな。
ほどよく混ぜ合わさった混合器が段差の壁などがない経路を通って素直にシリンダーヘッドへ。
設計屋さんが考えた100%のパワーにより近づけてあげるのがシリンダーヘッドのオーバーホール。
そんな気がします。
先ほど、またピットを覗いてみました。
新ちゃん、神様に手を合わせるようにタコ棒を握ってバルブの摺合せ・・・拝んでいるように。
100%のパワーが出るように!ってかな?