プイイの建築逍遥、そして日々のことなど-冷泉家表門

7月に冷泉布美子さんの訃報に接し、ブログにも書きましたが、
http://ameblo.jp/pouilly/day-20110723.html
敷地は750坪、「畳が座敷だけで120~130枚ある」という家(重要文化財)
を布美子さんが守り抜いたことを、もっと称えるべきだと私は思います。


書籍『重文民家と生きる』にも「冷泉家」は取り上げられていますが、
「はるか昔の阿仏尼以来冷泉家は女性が強かったようだ、その方が家の中がうまくいくように思う、
と当主は笑って語ったが、重文民家は歴代の女性達が支えてきた、というのは当主達には共通の
認識であろう。女性達の陰の支えがあったからこそ歴代の当主はなんとか家を支えてこられたに
ちがいないのだから。」という一文は、300戸を超える重文民家オーナーの率直な思いだと私は
思います。


その称賛が少ないのは、その屋敷を「見て・知って・考える」ことがないからかもしれません。
国宝の城や寺社を見る人口と、家屋敷・古民家を見る人口と、比べようもなく前者が多いことは
否めません。


ところで、建築を見に行くときに、平面図がある/ない、は大きな差です。
今回の特別公開では、表門で入場料を支払うとB5サイズ表裏の印刷物が、また京都非公開文化財特別公開
全体でも、その公開物件をまとめたカラー40頁の「拝観の手引」を300円で各所で求めることができますが、
平面図は、どの建築にも付いていませんでした。私は事前に、『京の雅 冷泉家の年中行事』から、
平面図をコピーして持参したので、台所以外は、内玄関、式台、座敷などを庭から見るだけの見学でしたが、
手前の部屋から奥へと、何畳の部屋がどのように並んでいるのかなどを確認するのに、とても役立ちました。


今回の「冷泉家」秋の公開は11/3~6の4日間だけ。9時前に今出川駅徒歩3分の表門に並んだのは、
30人ほどの人で、開門と同時に中に入ることができました。そして見学の所用時間は30分ほど
だったでしょうか。それで何が分かる、というお叱りには、「これは初会」と応えます。
出来れば、午前中見て、午後また見て、2、3日おいてまた見て、がお薦めの味わい方です。
「桂離宮」の案内の方は、「できれば、春夏秋冬それぞれにお越しになり、春の桂、冬の桂と、
その味わいの違いを堪能いただきたい」と仰ってました。
庭木の風景はもちろんのこと、例えば、畳に写る日差しの長さが違いますよね。
前日、茶室「庭玉軒」を案内していた学生さんは、「門を閉めたあとの、夕焼けの時刻がいいんです」と
(これは、ボランティアの役得ですけど)と、こそっと教えてくれました。


今年は、「大徳寺孤篷庵」を逃してしまったので、来年は8月に、開催のお知らせがHPに載った時点で、
京都に滞在する日程を少し長めに立てたいと思います。