【2024年読書記録』⑨『鏡の背面』篠田節子 著


前に図書館で借りて途中まで読んでいたのをやっと残りを読了。内容的に借りたまま読みきることに躊躇があり、貰い物のクオカードを使って購入。これは本棚に入れるべき本。


『冬の光』と前後して読むことになりましたが、これも力のこもった、人の業について書かれた物語。


胸に傷のある人物が、他人それも聖人のような人になりきって生き続けるということが、どれほど当人にも周囲にも大きな影響を及ぼすのか、恐ろしいほどの世界が描かれていて、読んでいて身体中に力が入りました。


何が善で何が悪なのかさえ自分の中でも答えが出せず、ただ空しさと切なさが残る読後感でした。