技術者もこういう本を読んでみたほうがいい、
と前書きに書いてあったので、
読んでみました。

技術者としていえば。
とりあえず最初のほうで大爆笑ものです。

大一章のタイトルが
「米IT列強支配の不満とHTML5への期待」ですからね。
事実を冷静に見る技術者なら、
その大仰な言い回しに笑わざるを得ないでしょう。

内容を見ても、
米IT列強の一員たるアップルのAppStore戦略を説明して、
プログラマーを搾取するとかなんとか。
悪の帝国のような紹介で。

単にわからない人向けに書かれたいい加減な本なんだな、
と思ってしまいそうになりましたが。

よくよく内容を読んでみると、
はっきり間違ったことはあまり書いていない。

縦書きで「ジャヴァスクリプト」とか書いてあるのを見ると、
いかにも素人くさいですが、それは対象読者が主に素人だから、
それに合わせているだけのこと。

プラットフォーム戦略のところで、
AndroidとiTunesを並べてプラットフォームの代表例と説明していて、
これだけ毛色の違うものを同列に並べるとは、何もわかってないんじゃないかと思いましたが、
よくよく考えると、ソフトウェアを囲い込んで管理してビジネスにつなげる手法としては確かに同列で、
そういう観点で分析をする上ならそう分類してしまってもあまり支障はないのです。

よくよく考えれ見れば、正確にiOSとかObjective-Cとか説明しても、
主な対象読者に覚えてもらえませんからね。
「アイチューンズ」と書いておけば、ああ聞いたことある、と言ってもらえるというものです。

というふうに考えていくと、
別に著者はわからなくていい加減なことを言っているのではなく、
説明のためにあえてそう表現しているというのがわかります。

まあ間違いがないわけではないですし、
特に本の最後の技術的FAQあたりだと、
はっきりと間違っているところも目立ってきてますので、
技術者レベルの知識があるのではなさそうですが。

開発のやりやすさの度合いについて語ったところは信用しないほうがいいと思います。

まあそういう技術者が突っ込見たくなってたまらないようなところを、
がんばってスルーして読むと、
よいことが書いてありますね。

HTML5はその新機能からしてOSを目指しているのは確かですし、
そうするとビジネス的に大局的に見れば、OSの対抗馬として分析するべきでしょう。

標準規格として整備が進められていて、
一企業の戦略に大きく左右されることがなく、
それでいて成功しかけているプラットフォームは珍しいですから、
ビジネス的には注目すべきでしょう。

そっち方面の解説や分析は鋭く、
役に立つことが書いてあります。

中小企業を含めた日本の企業を想定して方策が書かれているのも、
参考にしやすくてよいです。

確かに技術者も読むべき本ですね。
技術的な部分の記述はスルーして読める精神力が必要になりますが。