2020年9月14日に開催された中央社会保険医療協議会中医協)総会で、新型コロナウイルス感染症COVID-19)で呼吸不全状態となる中等症II以上の患者に対し、救急医療管理加算1の5倍相当(4750点)の加算を算定可能とすることが承認された。厚生労働省は2020年度第2次補正予算の予備費の支出が閣議決定された後、速やかに事務連絡を発出する。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」(第3版)が2020年9月3日に発行された。手引きでは、COVID-19の重症度は「軽症」「中等症I」「中等症II」「重症」──の4類型に分類されている(図1)。中等症I以上では入院加療が必要となり、このうち呼吸不全のため酸素投与が必要な患者が中等症IIと区分される。手引きによると、呼吸不全の定義は「PaO2≦60mmHg」であり、「SpO2≦90%」に相当するが、誤差を考慮して中等症Iは「93%<SpO2<96%」、中等症IIは「SpO2≦93%」とされている。国内で入院を要したCOVID-19患者2600例のレジストリによると、酸素投与を要しない軽症例が62%、酸素投与を要した中等症が30%、人工呼吸管理やECMOによる集中治療を要した重症例が9%だった。

 

 

COVID-19患者を受け入れている医療機関へのヒアリングでは、中等症IIの患者のイメージとして「診療や巡回の頻度増に加え、重症化の早期発見のために頻回の検査が必要」という声が上がった。さらに、「臨床経過中のいずれの時点でも病状が急速に悪化し得るため、継続的なモニタリングと急変時の対応の準備が求められることが大変」「病態に合わせた迅速な治療方針の決定のため、複数医師による相談や多職種の連携が必要」などの意見もあった。

 呼吸不全状態の患者に対し、頻回の診療や検査、継続的なモニタリングなどの手厚い診療・管理が行われている実態を踏まえ、厚労省は「呼吸不全状態となる中等症II以上の臨床像の患者について、救急医療管理加算1の5倍相当(4750点)の加算を算定可能とすること」を提案(図2)。支払い側委員からは「5倍とする定量的な根拠が示されていない」などの意見も出たが、最終的に承認された。

 

 

算定対象となるのは、専用病床の確保などを行った上でCOVID-19患者を受け入れている医療機関で、専用病床に入院する中等症II以上のCOVID-19患者。算定期間は14日が限度だが、継続的な診療が必要な場合は15日目以降も算定できる。この場合、継続的な診療が必要と判断した理由をレセプトの摘要欄に記載する必要がある。

 

 

  英AstraZeneca社が開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン(AZD1222、旧開発番号:ChAdOx1 nCoV-19)について、米国で実施中の第3相臨床試験を自主的に中断していることが明らかになった。2020年9月9日、AZ社の日本法人であるアストラゼネカの広報担当者も、本誌の取材に対し、自主的な中断の事実を認めた。ただし、「詳細が分からず、ワクチンの安全性を結論するのは時期尚早」と業界関係者は冷静になるよう呼びかけている。

 自主的な中断は、米The Boston Globe社が立ち上げたヘルスケア・ライフサイエンス系専門メディアのSTATが、2020年9月8日(米国時間)に報じたことで明らかになった。STATの記事によれば(1)英国で実施された臨床試験の被験者に深刻な副作用が認められた、(2)AZ社は、実施中の臨床試験に関する通常の対応として、安全性のデータを精査するため、臨床試験でのワクチン接種を一時的に中断している、(3)副作用の詳細や発生時期は現時点で明らかになっていないが、被験者は回復する見込み――だという。

 本誌の取材に対し、アストラゼネカは「現在、情報を収集しているところで、詳細はまだ分かっていないが、米国で3万例を対象に実施中の第3相臨床試験を中断しているのは事実だ」(広報担当者)と回答した。ただし、副作用の詳細などについては明らかではなく、また、中断されているのが、米国での第3相臨床試験だけなのか、他にもあるのかは不明。アストラゼネカは2020年9月から、日本でもAZD1222の第1/2相臨床試験を開始したところだが、「それについても、情報収集後、対応を検討する」(広報担当者)という。

 もっとも、製薬業界において臨床試験が中断されることも、中断された臨床試験が再開されることも、珍しいことではない。また、今回は、規制当局のを命令を受けた差し止めではなく、AZ社の判断による自主的な中断であることも踏まえると、異例のスピードで開発が進められる中で、より慎重に安全性について精査していると捉えることもできる。「いずれにせよ、副作用の詳細も分からない現段階で、AZD1222の安全性について結論するのは時期尚早。今は、AZ社から詳細が説明されるのを待つべきだと言えるだろう」と業界関係者は話していた。

 

全国医学部長病院長会議(AJMC)は2020年9月10日、大学病院での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者は約8割が抗菌薬やファビピラビルを投与されており、死亡割合は約20.1%だったことを明らかにした。

 これはAJMCの会員である全国82国公私立大学を対象に調査したもの。集計対象はCOVID-19発生時から2020年7月31日までに国内大学病院を受診した重症例で、重症例はICUに入室、あるいは人工呼吸器を必要とした患者と定義した。期間中に治療を手掛けた総重症症例数は487。うち死亡は98例だった。また、最も多く重症例を手掛けた病院が診療したのは45例で、1病院あたりの平均は5.94例だった。

 治療法として最も多く使われたのは「抗菌薬投与(レムデシビル、ファビピラビル、イベルメクチン、ロピナビル/リトナビル以外)」の398例(81.7%)。その後、「ファビピラビル(アビガン)投与」(378例、77.6%)、「経腸栄養やTPN(高カロリー輸液)といった栄養介入」(325例、66.7%)と続いた。厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部がまとめた『COVID-19診療の手引き』に治療薬として示されている「ステロイド投与」(吸入薬は除く、手引きで示されているのはデキサメタゾン)は205例(42.1%)、「レムデシビル(ベクルリー)投与」は54例(11.1%)だった(図1)。

図1●重症例に対して行われていた各治療法の割合(AJMCによる。クリックして拡大)

 その他、現在COVID-19に対する特定臨床研究や治験が行われている主な薬剤が使われたケースについては、「シクレソニド(オルベスコ)」が182例(37.4%)、「ナファモスタット(フサン)」が142例(29.2%)、「トシリズマブ(アクテムラ)」が47例(9.7%)に投与されていた。また、Dダイマーが高値となった時に血栓症対策として推奨されているヘパリンについては、「未分画ヘパリン」が269例(55.2%)、「低分子ヘパリン」が42例(8.6%)に投与されていた。「トロンボモデュリン(リコモジュリン)」の投与も38例(7.8%)あった。

 ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)は78例(16.0%)で使用されていた。

大学病院は6月も外来、入院、手術のいずれも前年割れ続く

 合わせてAJMCでは4月から6月にかけての、大学病院の患者数や収支状況に関するアンケート調査の結果も発表した。外来患者は前年比20.9%減だった4月、同27.1%減の5月に対して、6月に入って若干患者数は回復したものの、前年比8.5%減の3686人だった。6月の入院患者数は前年比14.2%減の1982人、手術件数は前年比11.5%減の10万4054件だった(外来と入院に関しては有効回答病院は137病院、手術に関しては138病院。分院も含む)。

 結果、136病院の4月から6月の累計では、医業収入が前年比10%減の7070億400万円で、医業収益は前年から743億7700万円減のマイナス747億3000万円となった。