インフルエンザの流行が、現在の調査が始まって以来の最多を記録した模様だ。各都道府県がまとめているインフルエンザ定点当たり報告数(速報値)によると、1月27日までの1週間に全国の定点医療機関を受診した患者数は28万3388人で、定点当たり57.09人とこれまでの最高だった昨季のピークを越えた。

図1 インフルエンザ流行の動向
(各都道府県がまとめているインフルエンザ定点当たり報告[速報値]をもとに作成)

 最も多かったのは埼玉県で、定点当たり84.09人だった。これに、新潟県(77.70人)、千葉県(73.00人)、宮城県(69.81人)、神奈川県(67.94人)が続く。佐賀県や茨城県、沖縄県など14県では前週より患者数が減ったものの、全都道府県が全域で警報レベルとされる30人を超えており、全国的にインフルエンザの流行は衰えていない。

流行ウイルスのタイプに変化

 インフルエンザの流行が続く中、流行ウイルスのタイプに変化が見えてきた。

 国立感染症研究所の週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数(1月31日時点)によると、今シーズンの流行ウイルスはA/H1N1pdm2009が62.0%で前回の64.8%より減ったものの、その割合は依然として最も多い。A/H3N2は35.9%(前回33.6%)と増えてきている。B型の山形系統は0.7%(1.0%)、ビクトリア系統が0.7%(0.3%)だった。

 直近5週ごとの推移を見ると、AH1pdm09の割合が徐々に減少し、その一方でAH3亜型が増加していることが明らかになった。2019年第4週までの5週間では、AH1pdm09が50.0%で、AH3が48.7%と拮抗している(図2)。

 定点医療機関からの報告の中には、2度目の感染例も散見されており、再感染防止の患者指導も必要になっている。

図2 直近5週ごとのインフルエンザ分離・検出報告数の推移