塩野義製薬(大阪市中央区)は、抗インフルエンザウイルス薬のバロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)で、20mg錠の規格について、想定を超える需要が発生したため、卸売業者への送品を調節していることが日経ドラッグインフォメーションの取材で分かった。同社は、 土日を含めて24時間稼働の生産体制を取っているが、出荷調整を継続せざるを得ない状況にあるようだ。

 同社代表取締役社長の手代木功氏は、日経ドラッグインフォメーションの取材に対し、「1、2週間で、生産や販売状況がここまで変わった経験は初めてだ。どの程度の患者が本当にいるのか、流通状況も、卸売業者と医療機関の在庫において、どこの段階で供給が間に合っているのか、間に合っていないのか分からない。弊社としては、十分量を製造しているため、客観的に見ると、足りなくなるはずはない」と打ち明ける。
 
 不足の原因として手代木氏は、「SNS上で、医師の間で『ゾフルーザがなくなるから早く買った方が良い』と噂が回り、卸売御者も『確保しておかないとなくなってしまう』といった誤った情報の連鎖によって、受注が受注を生んでいる」と分析。インフルエンザシーズン後の4~5月に過剰在庫が大量返品となる可能性を懸念する。

 一方で、「患者や医療機関に心配を掛けるのは本意でないので、現在、来シーズン用の原薬も、製剤化に回している状況だ。とはいえ、第一選択で処方している医療機関もあれば、採用していない医療機関もあり、市場でのシェアも未確定のため、どの程度を提供すれば足りるのかといった情報がないのが現状」と話す。現段階では供給に地域差はないようだ。
 
 また、厚生労働省は、2019年1月、「通常流通用抗インフルエンザウイルス薬の供給状況(18年10月分)について」を公表している。これによると、卸売業者から医療機関への供給量(18年10月1日~11月4日)は、ゾフルーザは約40.8万人分で、2位のイナビルラニナミビル)(約10万人分)を大きく引き離す供給量となっている。また、オセルタミビルリン酸塩においては、18年9月に発売された後発医薬品が約7.9万人、タミフルが約4.3万人などとなっている。