中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織医療機関等における消費税負担に関する分科会」は1月9日、2019年10月の消費税率引き上げ(8%から10%)に向けた診療報酬での対応における財源配分の考え方について議論した。各報酬項目への上乗せ率として、初・再診料は5.5%、入院料では急性期一般入院料が4.8%、地域一般入院料が4.0%などとする案が示された。委員から目立った反対意見は出ず、厚労省は16日の中医協総会に報告する。

 2014年4月の消費税率引き上げ(5%から8%)に伴う改定後、補填状況にばらつきが生じていたことから、2019年10月の改定では2014年4月の増点分を含めた「消費税率5%から10%の部分」について上乗せ率を決め、配点する方針だ(関連記事:2019年10月の消費増税に伴う対応を議論)。そのため、今回示された上乗せ率は2014年4月の消費税率引き上げに伴う改定前の点数に対する上乗せ率となる。

 初・再診料の上乗せ率については、無床診療所の課税経費率(2016年度実績)と収入に占める初・再診料のシェア(2016年度実績)を基に5.5%とする案が示された(図1)。

図1 初・再診料の配点の考え方
無床診療所の課税経費率21.0%(2016年度実績)と、消費税率増加分である5/105をかけ合わせた部分(オレンジ色の部分)が消費税率引き上げに伴う負担増となる。無床診療所の補填項目は初・再診料のみのため、収入に占める初・再診料のシェア(2016年度実績)と上乗せ率をかけ合わせた部分(青色の部分)が同じ面積になるよう計算し、上乗せ率を5.5%とする案が示された。 ※クリックで拡大します。
(出典:第20回医療機関等における消費税負担に関する分科会[2019年1月9日]資料)

 入院料のうち、一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料に関しては、療養病床の割合で病院を分類し、課税経費率を見る対応方針が既に了承されている。同日の分科会では、地域包括ケア病棟入院料や回復期リハビリテーション病棟入院料などの特定入院料について、機能に応じてI~IVの4段階に分類し、親和性が高いと考えられる入院基本料と同じ分類とみなす対応が提案された。その上で、収入に占める入院料のシェアと上乗せ率を算出する。

 分類IとIIは一般病棟入院基本料、分類IIIと分類IVは精神病棟入院基本料などに対応する。例えば救命救急入院料、特定集中治療室管理料などは、分類I(急性期一般入院料と同じ)、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリ病棟入院料などは分類II(地域一般入院料と同じ)に区分される。精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料1などは分類III(精神病棟入院基本料10対1、13対1と同じ)、精神科急性期治療病棟入院料2、精神療養病棟入院料などは分類IV(精神病棟入院基本料15対1、18対1、20対1と同じ)となる。

 種類の多い特定入院料を4区分することで、病院における補填対象の収入項目を「初・再診料」「入院基本料」「主たる特定入院料」「その他の特定入院料」の4種類に集約でき、シェアに応じた上乗せ率を算出しやすくなる(図2)。この手法により課税経費率、シェアに基づき上乗せ率を算出したところ、急性期一般入院料と特定入院料(分類I)は4.8%、地域一般入院料と特定入院料(分類II)は4.0%、精神病棟入院基本料(10対1、13対1)と特定入院料(分類III)は2.6%、精神病棟入院基本料(15対1以下)と特定入院料(分類IV)は2.2%となった。

図2 入院基本料・特定入院料の配点の考え方
特定入院料を4区分することにより、補填項目を初・再診料、入院基本料、主たる特定入院料、その他の特定入院料の4種類に集約でき、上乗せ率を算出しやすくなるという。 ※クリックで拡大します。
(出典:第20回医療機関等における消費税負担に関する分科会[2019年1月9日]資料)

 特定入院料への上乗せ率が決まると、それ以外の入院料への上乗せ率も自ずと算出でき、療養病棟入院基本料は1.5%、特定機能病院入院基本料は8.8%、障害者施設等入院基本料は2.9%とする案が示された。

 厚労省の提案に対し、全日本病院協会会長の猪口雄二氏は「(一般病棟入院基本料や精神病棟入院基本料に対応する区分が)2区分というのは、精緻化という観点では少しくくりが大きすぎるのではないか」と指摘。今後、同様の対応が必要になった場合には、さらに細分化できないか検討するよう要望した。

 厚労省は10月の改定後、2020年度の診療報酬の算定実績などを踏まえて2021年秋ごろに補填状況を検証する考えだ。これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「2021年秋では、通常の改定スケジュールと変わらない。本当に補填できているか、まずは半年ほどで様子を見るべきではないか」と強調。これに対し、厚労省は「補填状況に問題ないか検証するには、1年度分の収入と支出を見る必要があり、一番早くても2021年秋ごろになる」と理解を求めた。一方で、「各報酬項目の算定回数で補填状況を推測するなど、従来と異なる手法であればもう少し早く着手できるかもしれない」(保険局医療課長の森光敬子氏)とし、工夫の余地がないか検討する考えを示した。