英国の研究チームがCTコロノグラフィー大腸CT検査)と大腸バリウム検査大腸内視鏡検査を比較する2件の多施設ランダム化比較試験(RCT)を実施し、CT検査とバリウム検査ならCT検査が好ましいこと、CT検査と内視鏡検査の比較では検出率に差がないが、CT検査では追加検査が必要になる患者が有意に多いことなどを明らかにした。2本の論文はいずれも、Lancet誌電子版に2013年2月14日に報告された。

 大腸癌が疑われる症状がある患者に適用できる検査法は複数ある。最も古くから行われているのが大腸バリウム検査だ。大腸CT検査はより新しい検査法で、バリウム検査より感度が高く侵襲性は低いが、バリウム検査の代替になるかを確認するRCTは行われたことがなかった。また、こうした患者に標準的に用いられる大腸内視鏡検査とCT検査の能力を比較するRCTも行われたことがなかった。

 著者らは04年3月~07年12月まで患者を登録し、2件のランダム化試験を行った。その一環として、CT検査、バリウム検査、内視鏡検査の間で患者の好みや費用対効果も比較したが、それらのデータは別の論文として近々報告される予定だ。

大腸癌または10mm以上のポリープの検出率はCT群の方がバリウム群より高い
 CT検査とバリウム検査の大腸癌または10mm以上のポリープを検出する能力を比較するRCTは、英London大学のSteve Halligan氏らにより行われた。英国の21病院で、症状から大腸癌が疑われ、大腸の放射線検査が必要と判断された55歳以上の患者3838人を登録、CT群(1285人)またはバリウム群(2553人)に割り付けた。これらの検査に先立って軟性S状結腸鏡検査を行い、割り付けられた検査後に必要であれば別の大腸検査を行った。主要転帰評価指標は、大腸癌の診断または10mm以上のポリープの検出率に設定。2次評価指標は大腸癌見逃し率などとし、intention-to-treat解析した。

 34人が同意を撤回したため、分析対象はCT群の1277人とバリウム群の2527人になった。一連の検査での大腸癌または10mm以上のポリープの検出率は、CT群で7.3%(1277人中93人)、バリウム群で5.6%(2527人中5.6%)で、CT群の相対リスクは1.31(95%信頼区間1.01-1.68)だった。大腸癌検出率はそれぞれ3.7%と3.4%で、相対リスクは1.08(0.76-1.53)だったが、10mm以上のポリープの検出率は3.6%と2.2%で、相対リスクは1.66(1.13-2.43)と、やはりCT群で有意に高かった。割り付けられた検査のみで大腸癌または10mm以上のポリープが検出された患者の割合は7.0%と5.2%で、相対リスクは1.36(1.04-1.78)だった。

 検査後3年間の追跡で新たに大腸癌と診断された患者、つまり検査で見落とされていた患者は、CT群の大腸癌患者の7%(45人中3人)、バリウム群の大腸癌患者の14%(85人中12人)を占めた(P=0.21)。

 追加の検査が行われた患者の割合はCT群の方が高く、CT群は23.5%(1206人中283人)、バリウム群は18.3%(2300人中422人)だった(P=0.0003)。理由は、CT検査の方が小さいものも含めたポリープ検出率が高いためと考えられたが、CT検査の場合、バリウム検査と異なり、原則として同日中に内視鏡検査を追加実施できた。

 入院を必要とする、または患者が死亡するような重症有害事象はまれだった。

 CT検査の大腸癌または大きなポリープの検出率はバリウム検査より高く、大腸癌見落とし率は有意に低かった。バリウム検査の代替としてCT検査を行うためには、追加検査実施率を下げるためにさらなる検査プロトコールの最適化が必要と考えられた。

追加の大腸検査はCT群の方が内視鏡群より多い
 上記の論文で上席著者となっていた英Imperial College LondonのWendy Atkin氏らは、CT検査と内視鏡検査により大腸癌または10mm以上の大きなポリープの検出する能力を比較するRCTを行った。

 内視鏡検査は大腸癌が疑われる症状がある患者に標準的に用いられる検査だが、高齢者や併存疾患のある患者では検査を完了できない可能性があり、有害事象のリスクも高くなる。従って、症状がある患者に対する第一選択としてはCT検査が有用と考えられるが、内視鏡検査の代替検査法になるかどうかを調べたRCTは行われていなかった。

 上記の試験と並行して患者1610人を登録し、ランダムにCT群(538人)または内視鏡群(1072人)に割り付けた。主要評価指標は追加の大腸検査の実施に設定。2次評価指標は、大腸癌または10mm以上のポリープの検出率、大腸癌見落とし率などとし、intention-to-treat解析した。

 30人が同意を撤回したため、CT群は533人、内視鏡群は1047人が分析対象になった。追加の大腸検査はCT群の160人(30.0%)、内視鏡群の86人(8.2%)が受け、CT群の相対リスクは3.65(95%信頼区間2.87-4.65、P<0.0001)だった。内視鏡群では118人(11.3%)が検査を完了できず、このうち72人(6.9%)が別の大腸検査を受けていた。

 大腸癌または10mm以上のポリープの検出率はCT群で10.7%、内視鏡群で11.4%、相対リスクは0.94(0.70-1.27)だった。割り付けられた検査のみで大腸癌またはポリープが同定された患者の割合は、CT検査群が10.7%、内視鏡検査群が12.0%で、相対リスクは0.89(0.66-1.21)だった。大腸癌の見落としはCT群が29人中1人、内視鏡群は55人中0人だった。

 重症有害事象はまれだった。

 著者らは、CT検査後の追加検査の必要性を減らすためには、検査の最適化やガイドラインの作成などが必要との考えを示したが、今回得られたデータにより、多くの患者にとってCT検査は内視鏡検査と同様の感度を持ち、低侵襲な代替検査法になり得ることが示唆された。