50歳以上の骨粗鬆症の男性にゾレドロン酸(ゾレドロネート)を投与すると、2年間の椎体の形態骨折(臨床症状の有無とは無関係に、胸腰椎のX線写真により椎体変形の程度から判定された骨折)のリスクが67%低下することが、ベルギーLeuvenカトリック大学のSteven Boonen氏らが行った二重盲検無作為化試験で明らかになった。論文は、NEJM誌2012年11月1日号に掲載された。
男性にとっても、骨折は健康上の大きな問題だ。50歳以上に見られる骨粗鬆症性骨折の約40%が男性に発生している。しかも、骨粗鬆症性骨折後の死亡率は女性より男性の方が高い。にもかかわらず、骨粗鬆症男性に対する骨折予防薬の有効性について調べた研究はほとんどなかった。そこで著者らは、骨粗鬆症の閉経女性に対する骨折予防効果が確認されているゾレドロン酸が、骨粗鬆症男性の骨折リスクに及ぼす影響を調べることにした。
欧州、南米、アフリカ、オーストラリアで、06年12月から10年10月まで、多施設無作為化試験を実施した。原発性骨粗鬆症または性腺機能低下症に関連する骨粗鬆症で、股関節部または大腿骨頸部の骨密度のTスコアが-1.5以下だった50~85歳の男性の中から、軽症から中等症の椎体骨折を1~3回経験していた、または、骨折歴はないが、股関節部、大腿骨頸部、または腰椎のTスコアが-2.5以下だった1199人を登録。ゾレドロン酸5mgまたは偽薬に1対1で割り付けて、ベースラインと12カ月時に静脈内投与した。カルシウム1000~1500mgとビタミンD 800~1200 IUは、毎日投与した。
100人程度の患者からなるサブグループを対象に、腰椎、股関節部、大腿骨頸部の骨密度と骨代謝マーカー(β-CTX、BSAP、PINP)の測定を定期的に行った。
主要評価指標は、24カ月間に新たな椎体形態骨折が1カ所以上発生した患者の割合に設定した。X線撮影は12カ月時と24カ月時に実施し、椎体の高さの変形が20%以上または4mm以上を「骨折あり」と判断した。
ベースラインの評価を受け、さらに試験期間中に主要評価指標に関する評価を1回以上受けた男性を対象とするmodified intention-to-treatで分析した。
588人(年齢の中央値は66歳、椎体骨折歴なしが404人)がゾレドロン酸に、611人(66歳、409人)が偽薬に割り付けられた。このうち試験を完了したのは530人(90.1%)と540人(88.4%)で、modified intention-to-treat分析の対象になったのは、それぞれ553人(94.0%)と574人(93.9%)だった。
総テストステロン値が350ng/dL以下だった患者は、ゾレドロン酸群の23.4%、偽薬群の28.9%で、230ng/dL以下だった患者は両群合わせても5.4%と少なかった。
24カ月間に新たに椎体の形態骨折を経験したのは、ゾレドロン酸群の1.6%と偽薬群の4.9%。相対リスクは0.33(95%信頼区間0.16-0.70、P=0.002)で、ゾレドロン酸投与によりリスクが67%減少することを示した。12カ月の時点でも両群の差は有意だった。0.9%と2.8%で、相対リスクは0.32(0.12-0.88、P=0.02)。
ゾレドロン酸群では、偽薬群に比べて中等症から重症の椎体骨折も有意に少なかった(24カ月時のP=0.03、12カ月時のP=0.01)。
ベースラインで血清の総テストステロン値が低かった男性でも同様の結果になった。総テストステロン値とゾレドロン酸の骨折予防効果の交互作用のP>0.80だった。
ベースラインからの身長の変化(最小二乗平均)は、12カ月の時点でゾレドロン酸群が-0.8mm、偽薬群が-2.5mm(P=0.008)、24カ月時はそれぞれ-2.2mmと-4.5mmだった(P=0.002)。
1回以上の臨床椎体骨折または非椎体骨折を経験した患者はわずかだった。ゾレドロン酸群が6人(1.0%)、偽薬群は11人(1.8%)で、差は有意にならなかった。
腰椎、股関節部、大腿骨頸部の骨密度は、24カ月間にわたって一貫してゾレドロン酸群で高く(比較された全ての時点でP<0.05)。ゾレドロン酸の骨密度への利益は総テストステロン値の影響を受けていなかった(交互作用のP>0.40)。
骨代謝のマーカー(β-CTX、BSAP、PINP)はゾレドロン酸群の方が低かった(比較された全ての時点でP<0.001)。
両群の死亡率(ゾレドロン酸群は2.6%、偽薬群は2.9%)と重症有害事象の発生率(25.3%と25.2%)に差はなかった。顎骨壊死は報告がなかった。ゾレドロン酸群の2人と偽薬群の1人が股関節部の骨折を経験していたが、いずれも非定型骨折または転子下骨折ではなかった。
ゾレドロン酸は、骨粗鬆症男性の椎体の形態骨折のリスクを2年間に67%低減することが明らかになった。閉経女性にゾレドロン酸を投与した場合には2年間に71%と報告されており、治療効果に男女差はないことが示唆された。