最近は、街や電車内で見かけるマスク姿の人も特別ではなくなってきた感があります。健康保険組合のレセプトから患者数の多い疾患ランクを見ても、急性気管支炎や急性上気道炎、急性副鼻腔炎などがトップを占めていますし、新型インフルエンザも社会問題化しましたので、今やマスクは必需品になっているのかもしれません。

 さて、以前は「マスク=風邪」というイメージでしたが、最近では、風邪以外での使用も珍しくありません。風邪は非常にポピュラーな疾患ですが、それ以外の疾患の“流行り廃り(はやりすたり)”はどうなっているのでしょうか?マスク姿を目にしながら、ふと、そんな疑問が頭に浮かび、いつものように健保組合のレセプトデータベースを使って分析してみました。

 分析した期間は2009年1~6月の半年間。風邪を除外するために、急性気管支炎、急性上気道炎、急性副鼻腔炎、急性咽頭喉頭炎、急性咽頭炎、急性鼻咽頭炎、かぜは除きました。

「うつ病」は20歳代から上位20疾患にランクイン
 下の表1は、実患者数の多かった「レセプト病名」の年齢別ランキングです。


表1 2009年1-6月期の上位20病名
順位 0-9歳 10-19歳 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60歳以上
1 アレルギー性鼻炎 アレルギー性鼻炎 近視性乱視 アレルギー性鼻炎 アレルギー性鼻炎 高血圧症 高血圧症
2 気管支喘息 アレルギー性結膜炎 アレルギー性鼻炎 近視性乱視 アレルギー性結膜炎 アレルギー性鼻炎 高脂血症
3 湿疹 近視性乱視 アレルギー性結膜炎 アレルギー性結膜炎 近視性乱視 高脂血症 糖尿病
4 耳垢栓塞 近視 近視 慢性副鼻腔炎 高血圧症 糖尿病 アレルギー性鼻炎
5 急性胃腸炎 気管支喘息 アトピー性皮膚炎 気管支喘息 高脂血症 アレルギー性結膜炎 高コレステロール血症
6 アレルギー性結膜炎 インフルエンザ 気管支炎 腰痛症 慢性胃炎 高コレステロール血症 不眠症
7 喘息性気管支炎 アトピー性皮膚炎 湿疹 気管支炎 腰痛症 近視性乱視 胃潰瘍
8 アトピー性皮膚炎 慢性副鼻腔炎 胃炎 胃炎 糖尿病 胃潰瘍 慢性胃炎
9 結膜炎 湿疹 急性胃炎 近視 気管支喘息 慢性胃炎 腰痛症
10 インフルエンザ 気管支炎 インフルエンザ 咽頭炎 慢性副鼻腔炎 腰痛症 便秘症


まず、「花粉症」関連の病名は、すべての世代でランクインしています(マスクは常備品ですね)。さらに、「近視」や「乱視」などの視力にかかわるものは10歳代から登場します。勉強のせいでしょうか、それともゲームやテレビの影響でしょうか?「中耳炎」や「結膜炎」も、子供世代でランクインです。

 成人すると、上位の病名が変化します。まず、20歳を超えると「腰痛」が登場。さらに、「うつ病」もランクインします。社会人としてのストレスが原因なのでしょうか?同様に、背景にストレスを感じさせる疾患としては、「慢性胃炎」が30歳代から、「不眠症」が40歳代から顔をのぞかせます。

 一方、30歳代まではランク外の生活習慣病「高血圧症」「糖尿病」「高脂血症」「高コレステロール血症」(最近は脂質異常症)が、40歳を過ぎると一挙に上位にランクインしてきます。生活習慣病関係の医薬品市場が大きくなるのもうなずけます。