厚生労働省は1月27日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、2010年度診療報酬改定で重点課題に位置付けられている項目(関連記事:「診療報酬改定の骨子まとまる」
)のうち、入院関連の報酬改定案
を示した。救急入院医療や一般病床、病院勤務医の負担軽減などに関する新たな点数項目や要件緩和策を盛り込んでいる。
救急入院医療では、救命救急入院料の評価の見直しを提案。現在、救命救急センターの充実度に応じて設定されている加算について、評価の高いセンターの報酬を引き上げる方針を示した。
さらに、ハイケアユニット入院医療管理料の引き上げと要件の緩和、2次救急医療機関を評価する点数である救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算の引き上げ、状態の落ち着いた救急患者の早期転院支援を評価する救急搬送患者地域連携紹介加算の新設などを提示。委員からの反対は特になく、概ね了承された。
入院時医学管理加算の要件緩和は継続検討
また、十分な人材と設備を備え、急性期医療を総合的・専門的に地域で提供している病院を評価した入院時医学管理加算に関して、趣旨を明確化するために名称を総合入院体制加算に変更するとした。ただし、点数の変更や要件の見直しは盛り込まなかった。
同加算は前回の08年度改定において、1日60点から120点に引き上げられた一方で、「内科、精神科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、産科または産婦人科にかかる入院医療を提供していること」といった厳しい要件が新たに課せられた。このため、診療側委員から「地方の病院の多くが算定できなくなり見直しが必要」(茨城県医師会理事の鈴木邦彦氏)との声が上がっていた。ただ、厚労省は同日、「総合的な診療能力があるほか、救急も担う病院を評価したものである」と同加算の趣旨を説明した上で、「救急医療や後方病床などに役割を特化したそのほかの病院は相当程度、別途評価したい」として理解を求めた。しかし、診療側委員から要件の緩和を求める声が強く、引き続き検討することになった。
このほか、軽症の救急受診の急増により救急医療が崩壊している現状をかんがみ、軽症患者が救命救急センターを受診した場合、保険給付外で費用を徴収できる仕組みの導入も提案。だが、支払い側委員から「金銭的な負担をすれば、軽症でも救命救急センターを利用してもいいという意識が広がる恐れがある」(健康保険組合連合会常務理事の白川修二氏)、「時期尚早で、まずは救急外来の利用に関する広報・啓発活動をしていくべき」(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の勝村久司氏)といった慎重な意見が相次ぎ、制度の導入は見送られることになった。
一般病棟入院基本料に関しては、入院から14日以内の加算は引き上げる方向。一方、一定数の長期入院患者が存在し、医療経済実態調査において収益が良好だった「15対1」入院基本料については引き下げる方針を明示。一部の診療側委員から反論はあったが、概ね引き下げの方向で了承された。
「7対1」および「10対1」については、看護師不足を考慮して、看護職員の月平均夜勤時間を72時間以内に抑えなければならないルールの見直しが盛り込まれた。現行では、同要件を満たせないと報酬が大幅に減額されるが、その他の要件はすべてクリアしている場合、減額幅を抑える方針。このほか、「7対1」および「10対1」入院基本料に対する急性期看護補助体制加算の新設も提案。1日の入院患者数に対する看護補助者の配置数が50対1または75対1以上であることなどを要件とし、入院から14日を限度として算定できるようにする考えだ。
クラーク加算に上位ランクを新設
病院勤務医の負担軽減策においては、08年度改定で新設され、一定の効果が見られている医師事務作業補助体制加算を充実させる。現在、最も高い点数を算定できるのは、病床数25床に対して医師事務作業補助者1人を配置した場合だが、より手厚い配置に対する評価として「15対1」と「20対1」を新設するとした。年間の緊急入院患者数が800人以上の病院などを施設基準にする考え。支払い側委員から、「細分化しすぎると患者が分かりにくいので、将来は整理してほしい」との要望はあったものの、特に反対意見は上がらなかった。
このほか、急性期医療に対する後方病床機能の充実策として、一般病床からの退院患者などを受け入れる有床診療所や療養病床の報酬引き上げが示され、委員から概ね了承を得た。
中医協では今後、残りの入院医療に関する審議が終了し次第、病院と診療所の再診料の一本化などの議論に入り、2月中旬には各項目の具体的な点数を盛り込んだ改定案をまとめる予定だ。