2009. 2. 5
部下の手柄は上司の勲章です!
とかく組織のトップになるとすべての事柄に対して、自分は部下より優れていると考える方が多くなるようです。しかし、すべての分野で才能がある指導者はなかなか珍しいでしょう。
有望なサラリーマンが将来を嘱望されて、会社の各部署を回って経験を積むことはよくあります。トップを目指す人にとっては、会社組織における主要部署の仕事内容を把握することが重要だからです。だからといって、各部署のすべての仕事に関して、最も優秀である必要はないのです。指導者は、各部署で自分より能力のある者をまとめて、組織全体としての向上を目的とすればいいからです。つまり、大切なのは、組織が発展するための強い信念とビジョンを持ち、その部署で掲げた目標を達成させるように部下を導く「マネジメント力」です。
医療の世界でも同じです。医学部の教授は診療、教育、研究とその管轄分野は多岐にわたります。診療の中でも得意分野があり、例えば外科教授であっても、消化器外科、呼吸器外科、乳腺外科、血管外科、小児外科などのすべての手術で部下より卓越することはなかなか難しいことです。自分の専門分野で思う存分に才能を発揮し、他の分野は優秀な部下に任せ、教室全体が発展することをマネジメントすれば、それでいいのではないでしょうか?
一般社会において、自分よりできの良い部下に嫉妬し、冷たい態度で接したり、人事上不利益な処遇を行ったりする上司の話をときどき耳にします.このような行為は、組織の活性化を妨げ、ひいては自分の地位を貶める結果になります。自分が率いる組織から優れた人材が輩出されることは、指導者としての名声を高めます。組織の長であるならば、個人としての名声を高めるより、指導者として実績を残す方が、ずっと褒められるべきことだと私は思っています。
大学病院では、執筆した論文の数が、医師を評価する際の基準の1つになります。また、日本の医学会では、日本語より英語の論文の方が、共同著者より筆頭著者の方が、価値あるものとされています。しかし、欧米では事情が異なります。Corresponding authorといって、研究して論文を書いた本人と同様か、もしくはそれ以上に、その研究を指導した人が高く評価されます。
優秀な「人」は、自分なりの考え方やポリシーをしっかりと持っていて、相手がたとえ誰であっても、自分の意見を周囲にしっかりと伝えられます。これに加え、優秀な「上司」には、自分の意見だけを押し通すのではなく、相手の意見にも耳を傾け、交渉を重ねて目標を達成する姿勢が求められます。時には優秀な部下の良い意見を優先し,採用することも必要なのです。
一方、優秀な部下を使いこなすことができない上司は、自分に対して率直な意見を述べる部下よりも、自分の意見にいつも賛成してくれる「Yes man」を傍に置きたがります。その方が仕事をやりやすいからです。しかし、「Yes man」ばかりに囲まれていると、自分が誤った判断をした場合や良くない方向に進み始めた時に、意見してくれる人がいません。
組織として考えると、これほど危険なことはないでしょう。企業犯罪には、ワンマンタイプの社長の暴走を止められる「物を言う部下」がいなかったために起きたと思われるものが数多くあります。ここ数年頻発している食品偽造問題の中にも、そうしたケースがたくさん見られます。
「自分だけが前に出る人より、自分より優れた人をたくさん輩出させることができる人の方が、上司として優秀なのではないか」と思う今日このごろです。
これは医療のブログです。貼り付けました。
日経メディカル ブログ:緑山草太の「僕ら、中間管理職」
本当に医療現場の言葉です┏●”ペコッ
