・幸か不幸か、国立大学法人なのでまだ授業は始まらない。暇というわけではないが、ちょっと空いた時間ができたので研究室を片づけようと思い立ってしまった。私も人の子なんである。
・あちこち片づけて机に目をやれば、普段、ほとんど開けたことのない引き出しに目が行く。右袖の、2つめの引き出しだ。
・なぜ開けないか? 自分でも不思議だったが、開けて気づいた。フロッピィ・ディスクやら、カセット・テープやら、ともかくレガシーなものどもが、たむろっているのである。もう使うことのないものたちばかりだから、開けるはずもなかったのだ。そしてそれは習い性のごとく、中身=意味のいかんにかかわらず、「開けなくてよい引き出し」という機能(?)のみ獲得して文法化していたのである。
・カセットの一つを取り出せば、おお、これは大学時代のコンサートの録音ではないか。ピッコロのソロを拝命して赤っ恥をかき続けていた日々よ。つい聞いてしまう……って、これもさっき気づいたが、ステレオ・ラジカセが生きていた。メーカーはもちろん青春のあこがれ、AIWAである。CA-W37(ん? ロシアのサイト??)。
・しかし、本当にレガシーな引き出しだな。「古語大辞典・特別付録/フレネルレンズ」? (フルネル~だと覚え込んでいた。記して謝意を表する)。『大辞典』の拡大鏡でないところはご愛嬌である(お、こりゃまた…… 実物はこちら中ほどちょっと下)。640MBのMOはまだしも、100MBのzipディスクまで出てきた。光学手法のディスクなんて信用ならんとzipにしたのだが、短命だったなぁ。よみがえる裏切られた感。
・裏切られたといえば、はじまったばかりの情報教育Ⅰを担当したときのこと、2人一組の相方が学生に対してこんなことを言っていた。
「佐藤先生の時代は30センチのフロッピィディスクをお使いでしたが……」等云々。
2歳も違わないのに。大体、笑いをとるなら自分のネタでやっていただきたい。今思い出しても殺意が芽生える(笑)。
・さて、テープは「メキシコの祭り」。聞きながら、もういらないディスクたちを捨てかける。と、また気づいてしまった。そう、フロッピィ1つとっても、シャッター部分は金属が普通だし、シャッターを閉じるバネも金属。中のディスクはアルミの軸部に磁性体の蒸着品。分別が必要ではないか。気づいた自分をほめてやるべきか、うらむべきか。
・10枚も分解すれば要領を覚える。まず、シャッター部分を全部はずす。これは簡単、器具もいらない。手で剥くようにすればいい。問題は中のディスクだが、これも細い隙間から鋏の先を差し込み、柄を起こすようこじ開ければよい。このとき、少し起こせばバネがとれ、さらに起こすと2枚のジャケットがバリッと割れて、中のディスクをとりだせる。うまくすると、鋏がディスクにささって一気に出せることもある。
・ん~、30枚ほど分解したころ、この動きは何かに似てるなと思った。何だろう…… そうだ、まさに牡蛎むきの動作ではないか。差し入れて、こじあけて、中身をとりだす。はは、そうだ、牡蛎むきだ。はははは……
・50枚ほどばらしたところで、まだ半分も片づいてないことに気づいた。いつまでかかるんだろーねぇ。