・易林本『節用集』(慶長2年跋)の扱いには、ちょっと違和感があります。

・まず、[著者]の項に「林宗二撰」とあるのは不審。何か根拠があったものか。刊記・跋で出てくるのは、易林と平井休与だけですから。饅頭屋本とされるものへの記述であればまだよいのですが。未確認の事項だと思いますので、強いて「林宗二」の名を挙げるにはおよばないと思います。

・易林の跋(あとがき)の存在する節用集には、次の3種があります。陰刻は黒地に白抜きに字を彫るものです。陽刻はその逆。普通の彫り方。

  a原刻版 書名・部門名陽刻 平井休与刊記ナシ 
  b平井版 書名・部門名陰刻 平井休与刊記アリ aと同版。部分改刻
  c別版  書名・部門名陰刻 平井休与刊記ナシ bの覆刻=別板木 

 1項目3亜種にするか、3項目にするかで悩むところですが、この年表では2項目としてます。所蔵先から判断すると、ac/bで分けてるらしく、平井休与という人の刊記が有るか無いかで分類しています。この年表は、刊記を重視するので、そのような形で落ち着かせたのでしょう。

・ただ、そういう方針を採ってるとは、通常は思えません。単に目録と見てしまう。目録ならば、版木の別なども記載するのが周到・丁寧ということになる。刊行書籍の総ざらいをめざしたものであれば、そうあるものと思い込んでしまいます。うっかりの利用は(この年表にかぎらないことですが)かなり注意しなければならないようです。

・ちなみに、私(たち)だとaとcは、別の板木を使うから別の本と考えたいところ。aとbは同一の板木なので、ごく近いものと考えたい。ただ、印刷されたもの(の表面・本文内容)はbとcが相近いことになります。