・今夏、父が急逝した。享年75歳。特に入院・闘病ということもなく日常生活を送っていたが、75歳にしてはガタイが大きいので、なんとなく心臓に負担がかかっているだろうな、とは思っていたけれど。大動脈解離。

・あまりにさっさと行ってしまったのと、実家から遠く離れて住んでいることもあってか、亡くなった実感がいまだにない。どんなことをしてもらったのか、できるだけ具体的なことを思い出そうとしている。

・そういえば、クルマで青森まで行ったことがあった。スバルのff1のバンタイプだったと思う。私が10歳だったろうか。両親・伯父・妹の5人で行ったはず。ちょっと記憶が欠落しているが、運転できるのは父一人だったはずである。

・まだ高速が走ってないころ。ただただ国道4号線を北上するだけの、単調かつ気の遠くなるような距離。少しでも距離を稼ごうと深夜に出発したように思う。記憶に残るのは、福島あたりだったろうか、豪雨でまわりの景色がかき消されている光景。ワイパーが役にたたず、頼りは前の車のランプだけ。いやびっくりした。

・走りに走って23時間。たしか袰(ほろ)月海岸だったはずだ。少し高くなっていて、広々と開けた海が見渡せる。点々と闇に浮かぶ漁火。左手には最終ゴールの三厩村。そして、そして、何よりも何よりも広い夜空。

・圧倒された。星が近い。空が泣きそうだと思った。眼のふちに集まった水分が、まわりの光をたたえて膨らみを知らせるように、星たちがまたたいている。やがて星の帯が見えてくる。天の川だ。後にも先にも、こんな夜空を見たことはない。もう一度見たいとは思うが、見てはいけないような気もする。