・用事を終えて高山駅前へ。バスがなく、流しのタクシーも来ないので20分ほど歩いた。
・土産物屋をのぞけば、妙ちくりんな色のさるぼぼばかり目につく。誰が買うのだろう。十年ちょっと前なら和紙人形が全盛で、どの店にも幾種類かは置いてあったものだが、今はどこにもない。どうしたことか。
・ちょうど全盛のころ、ゼミ旅行で訪れた。和紙人形は、申し合わせたように白無垢・打掛けの花嫁姿や手鞠つく少女だったりしたが、同じ白無垢でも、よくみるとテイストに差があった。動きをうまく捉えたものや、表現しすぎたもの、媚のあるものなどが見られた。高々2000円前後の土産物なのだが、作家・工房の個性が反映しているのだから贅沢なことだ。そうした豊かさもいまとなっては愛おしい。
・私が気に入ったのは、江名子川という宮川の支流のほとりにあるO店のものだった。和紙製品だけのお店だから、作家さん直営なのかもしれない。人形はほどよい動きをとどめて、かつ気品があった。ただ、10年程前、インドネシアの留学生からいただいたワヤン人形(影絵じゃなく人形劇もあるそう)のお返しにあげてしまって手元にはない。
・また一つ手元に置いておきたいと思うから、高山に行くたびO店を思い出すけれど、なかなか店まで行けないでいる。今でも作り続けているだろうか。「お宅の白無垢さんは、無事インドネシアにお嫁入りしましたよ」と、いつか言ってさしあげたいが。