なんだかんだで半分ぐらいは国道を歩くことになる遍路道
否応なしにトンネルも通って進むのだけど、
こいつがなかなか、くせものでして
はじめに洗礼を受けるのは、日和佐から南下して室戸に至る、
入り組んだ海岸線をぶち抜いて走る国道55号
高知入りしてからは、山間部でちょこちょこ
愛媛も松山までの道のりで、山中に長いトンネルがいくつかあらわれ、松山を過ぎてからはほとんどなくなる
普段、車で通過することはあっても、
トンネルの中など誰も好きこのんで歩かないでしょう?
車の方も、まさか人が歩いてると思って
運転してないだろうし、迷惑かけます…
足元には針金やら軍手やら謎のゴミが吹き溜まり
下水溝のフタに杖を取られてけつまづく
後ろから迫る車の音はよく響き
もし幅寄せされたら逃れる方法なんてなく
身を縮めながら、「出口まで●00m」の表示がひたすら頼り
灯りや歩行者通路の幅などの整備は、
トンネルによってほんとにまちまちで、
距離が長くても、歩道をちゃんと縁石で区切って
1段上げてくれているようなトンネルは本当に安心して歩けるし
白線と壁の間がオイ(゚Д゚;)というほど狭くて、
ものすごく恐ろしい場合もある
自転車はパンクの恐れもあるから、徒歩よりさらに怖いだろうな
いちど、トンネルが工事中で車両通行止めになっていて、
車線ど真ん中を堂々と歩けたのは楽しかった
実際、トンネルで交通事故に遭って亡くなるお遍路さんは
昔からいるようで、幽霊が出ると言う伝説のトンネルもいくつか
白装束は暗い中での視認性が高いので、安全面でもオススメ
地元警察も反射タスキのお接待で事故防止に努めている
お遍路用の地図には、トンネルを迂回するような峠越えの山道が
案内されている場合もあるけれど、
やはり時間がかかるのと、道の荒れ具合などの状態が読めないのと、ぼやっと歩いていて迂回路の入り口を見逃していつのまにかトンネルの前に出ていたりで、結局トンネルを利用することが多かった
お遍路さんには、なるべくトンネルではなく風情ある道を好んで歩く人もいれば、同行人Y君のように
「僕はトンネルと山道とある場合、
何も迷わずトンネル選んでますよー」と清々しい回答の人も
一番怖かったトンネルは、伊予・四十三番明石寺のある
宇和町を過ぎて、大洲へ向かう「鳥坂隧道」
前日に宇和島のユースホステルで会った松山の男の子が
「あのトンネルは怖かった」と連発していたので、
覚悟はしていたが、確かに…
渋滞が起きるほどで交通量が多いうえに、歩道がほとんどない。
カベは排ガスで真っ黒。
出口に着いた時には「生きてて良かったっ」と口走ったぐらい
1時間ぐらいのロスなら、鳥越峠の山道を迂回した方が
いいかもしれない
思い出深いのは、土佐・三十七番岩本寺のある窪川から
南下して海沿いへ向かう途中に表れる「熊井トンネル」
レンガ造りのかわいい小さなトンネルは明治38年完成
人々は佐賀の港から1個1銭でレンガを運んだそうだ
幅は車1台通るのがやっとで、今は国道を離れ
ひっそりと山中に埋もれていて風情がある
この日もとにかく倒れそうなほど暑くて暑くて、
誰も歩いている人なんかいなかったなあ
トンネルが作ってくれる日陰が心底ありがたかった
笠を脱いで、吹き抜ける冷たい風を頭に通した