雑な女と言わないで!
最近ママの食欲がない。「おいしそうなものが食べたい」とか言うようになってきた。「おいしいもの」ではない。テンションが上がるような「おいしそうなもの」が食べたいというのだ。
客観的に考えて、私は料理が「上手な方」ではないが、「まぁまぁ旨いものを作るタイプ」だとは思っている。ただ、盛りつけというか、プレゼンテーションが下手なのだ。なんかこう「お父さんの料理」風。華がない。ロマンがない。メルヘンもない。
これはもう自他共に認める事実だ。長らく某雑誌のメルマガ担当をやっていたのだが、その中のコーナーに「誌面に載ったレシピを実際に作ってみて、スマホで撮った画像を載せる」というミッションがあった。
それに「なんかマズそう」「ライティングが悪い」「器の大きさと料理のバランスが悪い」……と、編集部からいろいろ“指導”が入りブチ切れた。
「私はライターなの。カメラマンでもフードスタイリストでもないの。いわば、料理も、その画像撮るのもメルマガ原稿執筆のオマケなんだよ。オマケにケチつけるんじゃない。そもそも画像のミッションが増えてからギャラが1ミリでも上がったか? 文句つけるなら、それ相当のギャラを払ってから言え。それがイヤなら、プロが撮影した本誌の写真をそのまま貼っておけ!」とメルマガ原稿にぶっちゃけて書いちゃったことがある。
痛いところを突かれて、相当悔しかったんだと思う。私は滅多にキレない。だが一度キレると「敵に回したくないリスト」に載るレベルの「厄介な人」になる。とはいえ、これだけメルマガに書いてクビにならなかったんだから、編集部も相当「痛いところ」を突かれたってことだろう。
↓当時撮った、メルマガ用アイスのデコレーション写真。
スーパーカップ逆さでポン! これが限界。
正直なところ、フラワーアレンジだとか、生け花の類、インテリアのデコレーションも私には無理。スタイリストさんが作ってくれれば「もう少し高さを抑えてください」とか「全体に沈むので差し色入れてください」とか雑誌撮影用の指図はできるのだが、自分でゼロから作るセンスはない。
私は不器用ではないが、雑でザッパーなのである。ウチではこういうデコ系の仕事はずっとママの担当だったのだが、最近「もう面倒くさいからやらない」とか言われ、途方に暮れている。
どっかに料理の盛りつけだけ教えてくれるようなスクールとかないかなぁ。キャラ弁ほどファンシーでなくていい。彩りよく「気を使った」感じに仕上がるように教えてくれるヤツ。
そんなことに飢えているから、ブロ友さんのお弁当とか料理の投稿とかは、舌なめずりしながら勉強させてもらっている。
そんな私でも「こりゃスゲぇ!」と驚愕した盛りつけがあった。
ADHDの当事者会議に出席するために行った、フロリダ州オークランドでのことだ。全体的にアメリカの料理の盛りつけはザッパーで「このレベルなら私でもできるかも」と思える感じだった。だが、最後の夜に「甘いものが食べたいね」と入ったi-hop(チェーンのパンケーキ屋さん)の盛りつけがスゴかった。
↓これ、バナナクレープのキャラメルソースがけなのであるが……。
前衛芸術? それともアルファベットで書く「ZEN」テイストというやつなのか? どういう発想で、メインのクレープががこの位置で、一切れのバナナがこの位置になるのか、流石の私にもちょっと想像がつかなかった。
厨房にいたのはシフトにも人生にも疲れた感じの女シェフ。私より雑な盛りつけ師がいたことに乾杯したい気分であった。