百鬼夜行に触られまくった敦煌の夜 | ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

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「なまいき」で「なまけもの」な「ぽてたろう」のノートです。
日常のあれこれや、その日考えたこと、そしてADHDや発達障害についての「あるある」などを書いてこうと思います。

今日は幽霊の日 幽霊みたことある?

見たことはないが「感じた」ことはある

百鬼夜行に触られまくった敦煌の夜

 

もう30年ぐらい昔の話だ。中国側からシルクロードを辿る旅をしていた。5人のキャラバンでは紅一点だったので、それまでずっと個室をもらっていたのだが、蘭州で合流した通訳の女性が、敦煌のホテルで青い顔をして言う。

 

「あの、今夜2人で1室でもいいですか?」

「いいけど、どうしたの?」

「このホテル『出る』ので有名なので」

「出るんだ! どんなの?」

「それが、見た人によって話がまちまちで……とにかく今夜はツインでお願いします」

 

私はスピリチュアル系の才能ゼロなので、全然平気だろうとタカをくくっていた。

 

その日は莫高窟(ばっこうくつ)見学だった。今でこそ世界遺産になり大切にされているが、当時の莫高窟は文化大革命時に破壊された仏像がゴロゴロと床に転がり、「研究のため」と英仏の調査団が壁画のアチコチをくり抜いて持ち帰った状況。窟内に照明もなく、大真面目にライトつきのヘルメットをかぶり、懐中電灯で足元を照らしながら歩いた。ホテルに帰りつく頃はヘトヘトで、食事をしてシャワーを浴びたら、ベッドに倒れ込むように熟睡してしまった。

 

 

夜中、ふと強い風を感じて目が覚めた。砂漠の中の1軒宿で窓を開けて眠れるわけもなく、ドアも閉めているのだが、どこからか何かがゴウゴウと流れ込んでくるくる気配がする。群れをなす“意識”のようなもの。その“意識”達にむき出しの好奇心をぶつけられている感じがした。

 

「私たちの通り道でぐうぐう寝ているこいつは何だ?」

「どこから来た?」

「へんな服を着ているぞ」

 

そんな感じで全身をジロジロ見られているし、あちこち触られまくっている感じがしばらく続いた。不思議と「うらめしや」な感じというか、敵意や悪意のようなものは感じなかった。本当に無数の無邪気な好奇心が炭酸の泡のように全身をなめていく。

 

夜中のことで、時間の感覚が鈍い。10分だったか、1時間だったのか、とにかく「何かの群れ」はまたゴウゴウと音をたてて風のように去っていった。

 

自分が知っている言葉で、一番イメージが近いのは「百鬼夜行」だ。あれが幽霊だとしたら、昨日や今日死んだ人ではなく、1000年単位で昔から砂漠を彷徨っている古代の人のようだった。当時の中国のホテルでは、いろいろと悲鳴を上げるような経験をしたが、幽霊っぽいものに遭遇したのはその1回だけだった。

 

 

↓万里の長城の西の果て

 

 

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