劇場ヲタ帖 歌舞伎:「いい景色だねぇ」 | ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

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「なまいき」で「なまけもの」な「ぽてたろう」のノートです。
日常のあれこれや、その日考えたこと、そしてADHDや発達障害についての「あるある」などを書いてこうと思います。

劇場ヲタ帖 歌舞伎:「いい景色だねぇ」

 

歌舞伎は大好きだけど、「高尚な芸術」というよりは「純粋なエンタメ」として楽しむタイプ。だから、感想ノートとかつけていないし、どんな配役でどの演目を見たのか、けっこう記憶が曖昧だ。

 

 

「好きだ」「好きだ」と騒いでいると、「じゃ、歌舞伎の特集やってみる?」なんていう棚ボタな仕事が来ることもあって、役者さんの取材や歌舞伎座・国立劇場の潜入ルポなど、「本当にこれ、お金もらっていいんですか?」なノリでやらせていただいちゃう。

 

役者さんのインタビューもいいけれど、やっぱり衣装さんとか大道具さんとか、裏方さんの話は抜群に面白い。馬役の役者さんが舞台ソデで「馬を脱いじゃう」から次の出番に備えて、小道具さんが「ヌケガラな馬を持って舞台の下を走る」とかね。

 

私は耳元でささやかれるのに弱い。舞台で何をやっているのかわからなくなってしまう。だから歌舞伎座のイヤホンガイドは涙をのんで断念している。でも、改めて、イヤホンガイドを担当しているような専門家や歌舞伎の研究者にお話を聞くのはめちゃくちゃ面白い。「ここの所作にはこういう意味があって、若ければ若いほど手の指を反らす」とか、「ここでは本当に火をつけて焼香するから、客席までお香が匂うよ。役者さんのお家によって香りが違うの」とか、そういう話が新鮮で面白くて「もう帰れ」と言われるまで、ずっとず~と聞いている。

 

今までで一番印象に残っているのは、「ウルトラマンの顔のスジ」は歌舞伎の隈取から発想したっていう話と「ゴレンジャー」の原型は「白浪五人男」だったという話。ということは、モモレンジャーは弁天小僧なのか? もっといえば一瞬で姿が変わる「変身」シーンは歌舞伎の「引き抜き」っぽい。

 

いわゆる「世話物」の演目で、何だったかは忘れちゃったけど、玉三郎が仁左衛門に一目ぼれするシーンがあった。そこで女が「いい男だね」って言うのはあからさま過ぎるから、そばにいる人に「いい景色だねえぇ」という。これが粋ですごくカッコよかった。うちのママと私の間ではこれが暗号化していて、街にカッコいい人がいると「いい景色だねぇ♪」とテンションが上がる。細かいことを言えば「3時の方向にいい景色。そのままゆっくり振り向け」ってな具合に使うのだ。

 

最近電車の中に、ちょっと気になる「いい景色」が1人。最初に発見したのが武蔵野線だったので、美大生かも。まだ寒い頃で、黒字に赤のスカル柄のフーディを目深にかぶり、チラッと見える前髪は金髪。顔はよく見えないが姿が良い。次に見かけたのは中央線の中だった。同じフーディだったので「これ流行っているのかしら?」と思ったが、どうやら同一人物だ。その日はフードを下げて、黒の中折れ帽をかぶっていた。おお、横顔も裏切らないな。

 

「二度あることは三度ある」というのをアテにして、スカルフーディ君の「夏バージョン」または「初秋バージョン」をぜひ鑑賞させてほしいものだ。

 

ピグの歌舞伎ガチャ、隈は全然出ない。