Power of the Destiny -32ページ目

第15話 コリアダム(3/3)

「ええっ!!?部屋が一つしか空いてないんですか!!!」




宿の受付で、ルウが情けない声を上げた。
いくら寒い中を歩いてきて体が冷えていようと、アオリヘの想いは熱く芯のほうで燃えていた。
この状態で、アオリと一緒なのは非常にまずい。
ルウは自分を押さえておく自信がなかった。
アオリが後ろでクスクス笑う。
「野宿するよりはましだわ。二部屋ないからって贅沢言ってられないでしょ。
…それとも私と一緒じゃ嫌かしら?」
最後は急に不安になって、アオリはルウの顔をうかがった。
「嫌だなんて!!
そ…そんなことは全くありません!
ただ、アオリ様がご迷惑なのではないかと…。」
強く否定はしたものの、まだアオリの顔を直視できないルウは、フラフラと視線を漂わせた。
「迷惑なわけないじゃない。私たちは仲の良い兄妹のように、 本当の兄弟よりも一緒の時間を過ごしてきたのよ。
ルウが側にいてくれれば心強いわ。」
アオリはにっこり笑った。内心はとてもどきどきしていたのだが…。




その部屋は街道沿いの安い宿にしては、広くて清潔感もありきれいだった。
もしかしたら、最近建てられたものかもしれない。
アオリが山を越えてコリアダムの街へ向かうのは、もう随分昔…
父王がまだ元気な頃のことであった。
部屋を入ってすぐ右手には、荷物をしまっておける背の低い物入れがあり、その上には洒落たデザインのランプが置いてあり、部屋の中をほのかに照らしていた。
部屋の中央には大きなテーブルが置いてある。椅子は六脚配置してあった。


「大人数で泊まれる部屋だから広いのね。」

アオリがつぶやくと、案内をしてきた宿の店主が、部屋の案内をしてくれた。


「こちらは、奥にもう一部屋ございまして、そちらがベッドルームになっております。
シャワーなども奥の部屋にございますので、疲れをゆっくり落としてください。
何かありましたらドアのノブにかけてあります、鈴をならしてくださいまし。」


そう言うと、頭を下げ、部屋から出ていった。
ルウはなんだか落ちつかな気に、寝室を覗きにいった。
扉を開けると右手にシャワールームがある。ベッドのほうに目をやると、ルウはその場で固まった。
大きなクイーンサイズのベッドが一つしか置いてないのだ。
椅子が六脚もあるテーブルを置いてあるにもかかわらず、ベッドが一つなんてどういうことなのか。
ルウは何も見てないかのようにあわててアオリに向き直って言った。
「ベッドはアオリ様がお使いください。私は居間のほうで休ませていただきます。」
しかし正直ルウはほっとしていた。
もしベッドがいくつか用意されていて、果たして同じ部屋で眠れるか、理性を保てるか少し心配していたのだ。
扉一枚でも隔てていれば、ルウは正気を保つことができる。
アオリは無言で奥の部屋に入り、扉を閉めた。
しばらくすると、シャワーを使う音が聞こえ始めた。
ルウは椅子に腰を落ち着け、そのままウトウトし始めた。