Power of the Destiny -29ページ目

第16話 正直な気持ち(1/3)

熱いシャワーを浴びながら、アオリの心臓はドキドキと高鳴っていた。


ルウとは、城の中ではもちろんずっと一緒だったし、寝るときだってアオリが眠りにつくまで、寝室の外で見張りをした後自室へ戻るくらいだった。
…今だって、扉一枚隔てている。
そのことに変わりはないが、アオリの気持ちが違っていた。


ここは城の中じゃない。城から遠く離れれば、自分を知る人も少なくなるし、自分もまた王女から一人の少女へと戻っていた。
そして、すぐ傍にいるのは、アオリがずっと好きだったルウなのだ。
アオリの王女として押さえていた気持ちが、一気に膨れあがってきた。
ルウのことをとても好きになっている自分に改めて気づいて、アオリは胸が苦しくなった。
知らないうちに涙が溢れてきている。
さっきからアオリの胸を苦しめてるのは、世界を救う不安などではなく、
恋をしている少女でしかない不安だった。

「ルウは…。彼は私のことをどう思っているのだろう。」

もちろん始終傍にいて、とても優しく気遣ってくれて、何かあれば全力で守ってくれる。
でもそれは、自分が王女だからではないのか?
突然、自分の立場を突きつけられたような気持ちになって、アオリは声を上げて泣いてしまった。
隣の部屋で、座りながらウトウトしていたルウが飛び起きて、部屋のドアを開けた。
泣き声はシャワールームから聞こえてくる。
ルウは慎重にシャワールームのドアをノックして、中に声をかけた。


「入浴中に申し訳ありません。
アオリ様どうかされましたか!?ご気分でも悪いのですか?」


ルウはあまりの心配に、思わず中に入りそうになったが、ぐっとこらえる。
寝室には明り取りのための小さな窓しかないため、誰かが入った気配はない。
部屋の隅々にも素早く目を走らせたが、特に変わった様子もないようだった。
ルウはもう一度アオリに声をかける。
「大丈夫ですか?
私に何か出来ることがあれば申し付けてください。
ご気分がすぐれないようでしたら、体を拭くものをお持ちしましょうか?」
すると、シャワールームの扉が細く開いて、中から明かりが一筋漏れた。


「ええ。お願い。」


ルウはベッドサイドの棚に置いてあった、ふかふかで柔らかい清潔なタオルを細く開いた隙間に差し入れた。