第13話 コリアダム(1/3)
「これから、どうするの?」
ラシアルが、ヒュウの顔を覗き込んだ。
ヒュウがコリアダムの街に来てから、もう一週間程が過ぎていた。
その間中ずっと、ラシアルの家で世話になっていたのだ。
ラシアルの家…とは言ってもラシアルも、もともとはこの家の子供ではなく、孤児だったのをダリムじいさんに引き取られてこの家で育てられたのだ。
「行くあてがないのなら、記憶が戻るまでずっとうちにおればいい。
ラシアルも兄が出来たみたいで、喜んでおるようだしな。」
優しい、髭に覆われた顔をくしゃくしゃにして笑いながら、ダリムじいさんは言った。
その言葉にラシアルは過剰に反応して、椅子から飛び上がった。
「なっ!何言ってんだよ!!
別に俺はヒュウのことなんか兄ちゃんだなんて…。」
語尾を弱めて、恥ずかしそうに口の中でモゴモゴ言いながら、ラシアルは赤くなってうつむいた。
ダリムじいさんは声をあげて笑う。
本当のところこの付近には、ラシアルと年の近い子供もいなかったし、孤児だったラシアルには、兄弟という存在に強い憧れをいだいていた。
ヒュウを最初に家に連れ帰って来たときも、友達になりたくて仕方なかったのだ。
ヒュウも照れくさそうに頭を掻くと、
「お言葉に甘えて、もう少しお世話になります。
ダリムじいさんにもラシアルにも本当に感謝しているし、俺ができることがあれば手伝いたいと思ってます。
ラシアルが嫌でなければ、友人として仲良くなれればうれしいし…。」
そう言って、ラシアルににかっと笑いかけた。
ラシアルもうれしそうに笑った。
ヒュウの記憶は一週間たった今も、全く戻る気配はなかったし、正直言ってヒュウにとっては何もかもが初めて体験するようなことばかりな気がしていた。(違う世界から来たのだからあたり前だが)
朝日が輝くと青白く光り、夕日にはオレンジ色の海を思わせるとても美しい街並みコリアダム。
その白い街並みは朝からとても賑やかな市場で活気づいていた。
その市場の中をラシアルと二人で歩き買い物をしていると、ここでずっと暮らしていくのかもしれないという思いがヒュウの中に生まれはじめていた。
この時は、その後起こる冒険のことなど、当然ながら全く知らずにいた。