久しぶりに本の感想を書こうかなと思います。


今回の感想は、「ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学」です。


以前より読者の間で、「システム開発の現場を面白く知ることができた」

「著者はSEという人種を馬鹿にしている」等など、賛否両論が巻き起こっていた本です。



さて、システムの開発に関わったことが無い方にはピンとこないかもしれませんが、

システム開発プロジェクトというのは上手く進めるのは非常に困難なものです。


大規模になればなるほど、その困難さは幾何級数的に跳ね上がっていきます。


私が耳に挟んだ中にも、数億単位の費用をつぎ込んだにも関わらず

途中で頓挫してしまったシステム構築プロジェクトが数多く存在します。


なので、「なぜシステム開発は失敗するのか?」を解き明かすことは、

システム構築に携わる全ての者にとっての永遠のテーマとなっています。


この原因については、自分なりに色々考えるところもあるのですが、

それはまた機会があればということで。



さて、肝心のこの本の感想ですが、「失敗学」と銘打っているにしては、

システム開発が失敗する原因についての考察は一切なされていません。


あるのは、「SEという人種がコミュニケーションが取れない人種だ」

という筆者の思い込みがつらつらと綴られているのみです。


この内容だと、そりゃあシステム開発を生業にしている人からクレームも出るわな、

というのが正直な感想です。

(本人はブラックジョークのつもりなのかもしれませんが…)


更に、本の中で事例として出てくるのが数十年前の技術だったりするので、

「現場を知らん奴が馬鹿にすんな」と思うのも無理の無いことだと思われます。



個人的に、これまでユーザ側、プログラマ、システム設計者、コンサルといった各立場で

システム開発現場の人々と関わってきた経験から判断する限り、

SEにコミュニケーション能力が無いというのは全くの間違いだと思っています。


システム開発のために決めなければならない緻密かつ大量な物事は、

一般ユーザにとって極めて馴染みの薄いことであるにも関わらず、

それらをユーザに正確に定義して貰わなければシステムが正しく動作しないのです。


更に、日々技術が急速に進歩し、高品質・低コスト・短納期要求が一層求められる

外部環境の変化の中で、ユーザの業務を正しく理解し、潜在的な要求を見極め、

“使える”システムを構築するためには、SEに極めて高いコミュニケーション能力が

求められるのは言うまでもありません。



そもそも、今この瞬間においても、数十万を超えるシステムが金融、交通インフラ、

通信、製造、流通といった日本の経済活動の根幹を支え続けているわけです。


もしこれらが、この本に書かれたようにいい加減に作られたシステムばかりであったならば、

銀行からお金も引き出せないし、電車で通勤もできないし、テレビも映らないし、

携帯も通じないし、映画のチケットも取れないし、Yahooニュースも見れないし、

電子メールも届かないし、nanacoで買い物もできませんね。



ということで、決してこの本の内容を本気にするのではなく、

困難なシステム開発の現場を風刺したジョークとして楽しむのが正解だと思います(^-^)/



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