65歳定年制を定めた期間雇用社員就業規則第10条を盾に、この9月末、高齢者のベテラン社員が一斉に「雇い止め」解雇された。その数全国で1万4000人。
  12月9日、それに抗して首都圏の5人の方々が起ち上がり、東京地裁に提訴した。
  そもそも有期雇用社員に対して定年制を設けた就業規則そのものが、雇用対策法や政府の雇用政策基本方針に反する反社会的な規則であり、公序良俗に反するとして、就業規則第10条そのものの無効性を主張、解雇撤回を訴えた。
  さらに原告団は、少子・高齢化が急速に進む今の社会では、高齢者の仕事と職場を確保していかなくては社会の維持すら困難になるのではないか。働く体力と意志のある高齢者の雇用を保障することは社会の要請であり、年齢を理由に解雇するのは社会の流れに反し、企業の社会的責任を放棄するものでもあると訴えている。
  提訴後記者会見を開き、それぞれの想いを訴えた。
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壇上には5人しか上れないということで、原告は5人の内3人。
右お二人は弁護士の方。
  民営化以前から10年以上も長年働いてきた方もいれば、職場に採用された時点ですでに65歳を超えてらした方もいらっしゃる。採用時にはお身体が続く限り仕事を続けて頂きたいと告げられてもいた。
  民営化後に就業規則が決められたというが、65歳定年制を記した修業規則があること自体周知されていない。そもそも民営化後もこれまで普通に半年ごとの契約更新をされてきたのである。
  この4月になって突然紙切れ一枚差し出され、次の契約更新はないと告げられた。こんな血の通わない殺伐とした職場風土を作ってきたのが今の郵政の会社だ。

  郵便集配から小包集荷、苦情処理まで、皆さんはそれぞれ熟練労働者として、スキル評価もずっと最高評価を更新されてきたという。
  替わりの者はいくらでもいるからということで首を切ったのかも知れないが、ベテラン社員を大量に欠いた職場は今大混乱している。
  募集をしても人が集まらない。採用されたとしても携帯端末の処理や煩雑な仕事の段取り、何よりも長時間・過密労働に耐えられなくて一月そこらで辞めて行かれる方も少なくない。
  80名ものベテラン社員のクビを切った船橋支店ではファイバーが山積みになるほどの郵便の滞留が起こっている。36協定を超える残業を発覚させないために二重帳簿でごまかそうとしていた越谷支店など。その他にも36協定を超える残業時間が発覚している支店をユニオンはいくつも把握している。
  郵政グループ、とりわけ日本郵便事業会社の今回の大量クビ切りにはなんの合理性もなく、ただただ職場混乱を引き起こし、事業の継続性さえ困難に陥らせるような施策でしかないだろう。
  赤字を理由とした一方的なリストラは許せない。
  原告団は今後もその人数を増やし、会社を糾弾していきたいと決意表明している。
  郵政ユニオンも原告団を支え、今後支援する会等の設立を予定している。
  共に社会的な問題として解雇撤回運動を拡げていきたい