東京電力が福島原発周辺自治体に支払った「見舞金」の金額の低さには驚いた。1自治体当たり、たった2000万円ポッチだったからだ。9自治体総額でも、個人で100億円寄付したソフトバンクの孫社長のわずか50分の1しかない。
 避難指示が出ている9自治体の住民は今も自宅に戻れず、避難所などで不便な生活を強いられている。全て福島原発の放射能漏れが元凶だ。ちょっと前まで日本を代表する大企業だった東電なら、1自治体当たり「億単位」の「見舞金」を支払うのは当然だ。説明が二転三転するのが“東電発表”だから、今回も「ケタ」を間違えたのかと思ったら大間違いだった。
「信じられないケチケチぶりです。東電は役員報酬の総額だけで約7億円もあるのです。現場からトンズラした清水社長、“ドン”の勝俣会長の年収は1億円近いでしょう。計2億円程度の『見舞金』なら、20人の役員のポケットマネーでも十分出せますよ」(経済誌記者)
 被災地にはカネを出し惜しむ東電だが、役員が喜んでカネを差し出している「得意先」がある。自民党の政治団体「国民政治協会」(東京)だ。
 09年の政治資金収支報告書を見ると、勝俣会長、清水社長以下、役員は軒並み、この協会に個人寄付している(別表)。その額、計249万円だ。
「確認できる限り、東電役員20人中、16人がほぼ同じ時期に寄付しています。会長、社長は30万円、副社長以下は7万~24万円と決まっているようだから、半ば『社命』だったのでしょう。寄付していない4人中、2人は社外取締役という状況を見ても容易に想像できます」(経済ジャーナリスト)
 原発問題に取り組む環境団体「たんぽぽ舎」の柳田真共同代表は「原発政策はもともと『日本も核兵器準備に備えよう』という発想から始まっている。推し進めてきたのは自民党」と指摘していた。東電幹部は自民党にカネを“上納”し、原発の「お墨付き」を得てきたのである。ハッキリ言って、世界中を震撼させている今回の原発事故を招いたのも歴代自民党政権が「原発=安全神話」を国民に植え付けてきたからだ。それなのに、谷垣総裁はシレッとして「原子力政策の推進は難しい状況になった」なんて言っているからチャンチャラおかしい。まして大連立なんて冗談にもホドがある
 
ゲンダイネット