各マスコミは日本郵便本社に対して、予定している具体的なリストラの規模を求めていた。どれぐらいの数の非正規切りを予定しているのかと。2000人という報道もあるがその根拠はと。会社は頑として具体的な数字を挙げなかったという。
1月14日付で本社人事部が発出していた「平成22~23年度における人件費削減に向けた取組」という文書がある。
  そこにはすでに、会社として必要な人件費削減額、▲約320億円と具体的な数字が記してある。
  本社は、各支店に対してはすでにこの時点で具体的な数字を挙げ、それに沿ってリストラ計画を立てるよう指示を出していたわけだ。
  例えばこれを受けて東京支社は2011年3月末人件費削減額を55億円とし、各支店単純平均6000万円の削減を指示している。
  ちなみに都内某中規模支店では4500万円の削減ノルマが課せられているという。
  さらに東京支社の文書には「ゆうメイトの退職(自然退職+雇い止め)」として以下のような式を示している。
  1人(8H )@200万円×6名=▲1.200万円
  支店あたり6人の非正規社員の雇用調整=首を切れと指示しているのだ。 
本社人事部発出の最初の文書に戻る。
  人件費削減320億の内訳として以下のような記述がある
 〔内訳〕 ゆうパック損益改善分として 200億
            このほか          70億  超勤減
                           50億  賃金減
超勤減は分かる。賃金減は、例えば勤務時間の調整=削減等に関わるものと思われる。つまり、具体的な非正規社員の首切りによるコストカット分としては「ゆうパック損益改善分として」200億円が計上されているということだろう。
  ただし、この計画は、「平成22年度~23年度」における取組となっている。
  文書には、22年度は宅配便統合による混乱によりリストラ策は一時中断とされている。320億のコストカットは全額平成23年度(2011年度)中の達成となっている。
  では今行われている非正規切りはこれには含まれないのか?
  文書には取組のスケジュール表もある。
  先の
東海支社の指示文書と同様に、期間をフェーズⅠ、フェーズⅡ、フェーズⅢと分け、それぞれの期間に応じたワークフローを示してある。
  それによると、(平成)22年度内の対応として3月末までの期間雇用社員の雇い止めがスケジュール化されている。
  つまり、320億の削減ノルマはずでに今年に入ってから始まっているということであり、4月以降に達成すべき額ではないとことだ。
 フェーズⅠ,Ⅱ,Ⅲの各段階の施策を具体的に見てみよう。
◎フエーズⅠ(22年度内の対応)【速やかに実施】
  1.期間雇用社員(アルバイト)の雇い止め
  2.退職不補充
  3.雇用時間短縮
  4.超勤削減(目標は1/2など)
  5.余剰労働力の明確化及び上記実施のために必要な準備
◎フエーズⅡ(22年度内の対応)【3月末実施】
  1.期間雇用社員(6ヶ月など)の雇い止め
  2.3月末の雇用調整に向けた準備
→23年度人件費計画の策定
◎フエーズⅢ【4月以降実施】
  1.サービスレベル変更に向けた要員の適正配置
  2.それを反映した人件費計画の修正
  *これには5月末雇い止め実施計画も含まれる
これを見ても分かるように、非正規切りはやはり今年度内に集中させるという計画だ。
  200億がその削減額だと書いた。非正規社員の平均年収額が上記東京支社の計算式の通り仮に200万とすると、単純計算でざっくりと1万人。実際は一人の社員の首を切るには様々な諸経費が加算される。しかしそれでも、私の見積もりは6~7000人。
さらに、この文書の日付に注意が必要だ。
  会社はこの日付(1月14日)以降、さらに営業赤字額を下方修正していいる。2月16日付け報道によると、日本郵便は、当初見通し1050億円の赤字がさらに135億円拡大し1185億円に膨らむ見通しだと発表したという。
  だとするならば、総額320億のコストカット額も、さらに積み増しされている可能性もある。
これまでに現場から報告されている情報を勘案すると実際は6~7000人の非正規切りという数よりは少ない数になるかも知れないが、今年度末までに数千人規模の非正規切りが行われる予定とした各マスコミの報道は、この文書によって裏付けられたと言えるだろう
 
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