12月31日東京新聞記事及び日本郵政(株)斎藤社長記者会見の1月8日各社記事で、1.JPEX承継後の赤字が膨大なものとなり、1月28日までに総務大臣に対して収支改善計画を提出するよう求められている。2.500億円~1000億円のコスト削減を計画している。3.計画より超過している人件費カットを実施する。4.1月11日から、社員の超勤禁止及び短期アルバイトの雇用延長を禁止する。5.期間雇用社員を削減する。6.労働組合に、社員の給与及び一時金のカットを提案する─ことが報じられた。
  1月24日には、NHKが、1.16万人あまりの非正規従業員の一部について、今年の3月末で切れる契約を更新せず打ち切る方針。2.正社員の給与やボーナスの引き下げなども今年の春闘の中で労働組合側と交渉する方針─と報じている。
  しかし、まず、はっきりさせるべきは、今回の中間決算での赤字の原因だ。
  1月7日、齋藤社長も記者会見で述べているとおり、そのうち220億円はJPEX統合の一時的損失。また、200億円はJPEX統合の伴う赤字の残存額。民営化株式上場を急ぐあまりJPEX統合を強引に進めた西川社長をはじめ旧経営陣、さらに7.1統合に踏み切った新経営陣の経営責任は明だ。
  これらは、本来郵便事業会社が負担すべきものでなく、日本郵政として責任をとり具体的支援策がとられるべきものだ。
  年3%といわれる郵便物数の減少によって、赤字が240億円増えたとされている。しかし、抜本的な経営改善策が講じられなかった結果であり経営責任は免れない。
  郵便物数の減少は、日本に限ったことでなく世界の郵便事業の趨勢だ。各国は、重量による郵便物の独占範囲を守る等措置を講じてきた。日本では、そういう措置を小泉郵政民営化の中で放棄し、信書便法案を成立させメール便と信書の区別を実際はない状態をつくっている。
  見直すべきは、信書の範囲を明確にし、メール便の規制を強化することや過度な大口割引制度を見直すことだ。郵便をあまねく公平に、安全・確実に提供する郵便事業本来のサービスを拡充させることだ。
  〝リストラ〟策は、現在でもサービス労働が蔓延し時間外労働に頼らざるをえない厳しい要員状況の中で郵便サービスを悪化させ、「郵便離れ」を加速させる結果をもたらす。

  郵政改革法案の成立は、齋藤社長も記者会見で強調するよう待ったなしの課題だ。しかし、今求められていることは法案成立頼みではなく、また、リストラ頼みでもなく具体的な経営改善策を提示することだ。
  ユニオンは、1月12日付で緊急要求書を提出し、計画の提示と団体交渉の開催をもとめている。
  西川社長時代労使協調で会社と一体でJPEX推進を進めてきたJP労組も責任は免れない。労働組合が合意しなければ賃下げやボーナスカットは言うに及ばず人事・給与制度の改悪も実行できない以上、JP労組は今回の〝リストラ策〟に合意すべきではない。会社役員に前委員長が収まるなどという会社との一体体質も改めるべきだ。
  11春闘では、JP労組組合員とも現場で連帯を広げ、会社への反撃を広げることが必要だ。
 
郵政ユニオン新聞 2月号より