10月1日に呉支店でもペリカンの配達が始まったが、混乱が続いている。
  9月11日に統合の延期が決定、既に日通が事業閉鎖を決めていた370の集配拠点での業務は、事業会社に委託することになり、呉支店でも委託者による配達が始まったが、準備不足は否めない。

 ● 「昭和地区」のペリカンの配達が、前日になって社員の配達に変更。
 ● 不在ペリカンの連絡先が、呉支店のコールセンターになっているため、ゆうパックや書留と併せて、同センターは混雑。
 ● 「代金引換」の現金管理器による決済を含め、帰店後の処理に対応するため、業務企画室・集配フロントは連日21過ぎまで帰れない。ペリカンの配達時間帯区分には、「20時~21時」がある。
 ● 当然ながら、委託者は1 3時間を超える長時間労働になっている。

  荷物の比較的少ない現在でもこの状態なのだから、繁忙に入ればどうなるのか、恐ろしくて考えたくない、というのが実感だろう。

他方で、暇でたまらない職場もある。
  JPEXのターミナル・集配支店・営業所では、予定していたゆうパックが来なかったものだから、既に事業会社から出向された正社員、契約替えになったゆうメイトは仕事が無くて、ブラブラ状態。
  事業会社は、11月に出向社員を戻す予定だったが、これを待たずに復帰させるという。
  JPEXが今後どうなるのかが気になるところだが、これに関するマスコミ報道の要旨を紹介する。


宅配統合、現計画撤回も視野  ( 時事通信 )
  郵便事業会社は30日、日本通運との宅配便事業統合に関し、現計画の撤回も視野に見直し作業に入ったことを明らかにした。総務省から認可を得られるかどうか不透明な状況が続いているためで、10月中にも結論を出す。

日本郵便、完全子会社検討  ( 読売 )
  郵便事業会社は30日、日本通運との宅配便合弁会社「JPEX」を完全子会社化する方向で検討を始めた。宅配便事業の統合について総務省の認可が得られず非効率な運営が続いていることから、日通の持ち株を引き取って救済を図りたい考えだJPEXは2008年6月に設立され、郵便事業会社が66%、日通が34%を出資している。統合効果が発揮できないまま、毎月20億~30億円規模の赤字を計上している模様だ。

日本通運「まいった」  「宅配」統合延期、株価下落  ( J―CAST )
  8月31日の終値で416円あった日本通運の株価は12.5%下落。以降、下落基調が鮮明になって、それが止まらない。日通が明らかにしているJPEXへの投資損失は38億円(09年4~9月期)。JPEXは10月1日の統合をめざしてきたため、人員や倉庫、車両などの配送体制を増強して、JPの「ゆうパック」事業の受け入れ体制を整えていた。
  すでに、これらのコスト負担が重石になっており、現状のまま運営していくだけでも10年3月期には損失が一〇〇億円前後に膨らむとの予測もある。事業を続ければ続けるほど赤字が膨らんでいくわけだ。
  だからといって元の鞘に納まることもむずかしい。宅配便業界はヤマトHDのシェアが38.7%、佐川急便が33.4%を占め、2社の寡占状態にある。3位の日通(10.3%)と4位のJP(8.7%、いずれも08年度)が合流することで、2社に対抗するのが狙いだった。「ペリカン便」が日通の手元に戻ってきても、「いずれ上位2社のどちらかに吸収される」との見方が支配的だ。
  しかし、岡三証券の予想では当期利益で14%減、経常利益は38%減を見込んでいる。同証券アナリストは「予想経常利益の悪化に歯止めがかからないことには、株価下落が止まらない」と、事態は深刻とみている。
  日通は「一刻も早く経営統合を認めてもらいたいし、そのための手を、前向きに打っていく。破談のことは考えていない」と話し、JPと共にこれから政府への働きかけを強めていくという。

郵政民営化の見直しを!

こうした事情は、事業会社も同様である。総務省の認可の下りないままに準備を強行した、日本郵政西川社長に責任がある。
  民営化を契機に安易な子会社化を進め、郵政史上例を見ない低賃金と悪労働条件で、収益を上げようとした経営方針に問題がある。
  政権が変わり、郵政民営化の見直しは必至の情勢にある。小泉・竹中路線の実行者として送り込まれた西川氏の更迭は当然のことだ。JPEX延期は、民営化の見直しと表裏一体である。

郵政労働者ユニオン呉支部機関紙10月6日号より転載