「あたしの知らないうちに帰ってるし」
「そりゃあ、小夜子を起こしちゃ悪いじゃないか。
抜き足、差し足、忍び足さ。どうだ、落ち着いたか?」
抜き足、差し足、忍び足さ。どうだ、落ち着いたか?」
華奢な小夜子の手を、両手で包んで聞いた。
「どうした? 何が悲しかったんだ?」
「あのね、お料理がね、うまくできないの。
千勢に教えてもらえば良かった‥‥」
肩を落として、小夜子が答える。
「あのね、お料理がね、うまくできないの。
千勢に教えてもらえば良かった‥‥」
肩を落として、小夜子が答える。
「なんだ、そんなことか。それじゃ、またお手伝いを入れるか」
小夜子の手を、ピシャピシャと軽く叩きながら、“解決したぞ”とばかりに、相好を崩した。
「ダメ! あたしが、お料理するの!」
武蔵の手をピシャリと叩いて、決然と言う。
武蔵の手をピシャリと叩いて、決然と言う。
「そいつは嬉しいな、小夜子の手料理が食べられるんだな。
それじゃ、どこか教えてくれる所を探してみるかな」
「お願いよ、早くね!」
「あゝ分かった、分かった。美味いものを、食べたいからな」
「やつぱり、まずいって思ってる!」
「不味いとは言ってないぞ。美味いのを食べたいだけ…。やめた、やめた。
とにかく、今夜はビフテキだ!」