「ねえ、社長」
甘えるような声で、「この間の話、覚えてる?」と、武蔵を覗き込んだ。
「なんだ? どんなことだ。言ってごらん」
「覚えてないの? 梅子姉さんが『お酒の席での話は、間に受けちゃだめ!』って言ってたけど、やっぱりか…」
肩を窄める小夜子に対し、
「うーん、覚えてないが…。言ってごらん。小夜子の頼みは、何でも聞いてやるから」と、身を乗り出した。
甘えるような声で、「この間の話、覚えてる?」と、武蔵を覗き込んだ。
「なんだ? どんなことだ。言ってごらん」
「覚えてないの? 梅子姉さんが『お酒の席での話は、間に受けちゃだめ!』って言ってたけど、やっぱりか…」
肩を窄める小夜子に対し、
「うーん、覚えてないが…。言ってごらん。小夜子の頼みは、何でも聞いてやるから」と、身を乗り出した。
「わたし、一人暮らしをしたいの。窮屈なのよ、今のお宅は。色々お小言を聞かされるしさ」
「そうか、お小言をな。それが当たり前だろうな」
「違うの! 女が社会で活躍することは、そんなにいけないことなの?
家に閉じこもっていろと言うの? そんなの、男の横暴よ」
小夜子の頬は、ほんのりと赤みを差していた。
吐き出した筈の酒に、少し酔ってしまったようだ。
「分かった、分かった。これから女性の社会進出は、当たり前のことになるさ。
「分かった、分かった。これから女性の社会進出は、当たり前のことになるさ。
その先進グループに入りたいんだな、小夜子は。
しかし一人暮らしは、どうなんだ? ああ、思い出したぞ。
『愛人になれ!』と、口説いたんだ。
だけど小夜子は、即座に『イヤッ!』と言ったんだ」
「それはそうよ。私には好きな人がいるんだから、愛人はイヤ!」
“奥さんなら、いいかも…”
突然、思いも寄らぬ言葉が浮かんだ。
危うく、口の端に乗せそうになった。
“な、なに、考えるのよ、あたしったら。
“な、なに、考えるのよ、あたしったら。
でもどうせ、間に受けはしないでしょうけど”
ぽっと、頬を赤らめた小夜子だ。
ぽっと、頬を赤らめた小夜子だ。