長編恋愛物語り 水たまりの中の青空 ~第一章~ (百八) | toshichanのブログ

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【遅れてきた新人】の、内山敏洋 と申します。 蔵の中に溢れかえっている作品や頭の中に湧き出てくる作品を“どんどんと!”と、考えております。

“そうよね、どうしてかしら? ここのところ、突然涙が出てくるのだけど、どうしてかしら”


東京に出ることに対し、不安がないわけではない。

しかしその不安を打ち消すほどの、明るい未来を感じる。

 

信じられないことなのだが、茂作のことが気にかかる。

茂作に対し、特段の罪悪感を感じるわけではない。

“ごめんね”の一言で済んでしまう程度のものだ。

仕方のないことだ、と思っていた。


初めての心持ちで、どう考えたらいいのか、小夜子には分からない。

持て余す小夜子だ。

しかし今、いよいよとなると、何故かしら泣けてくる。

小夜子の預かり知らぬところで、涙腺が緩んでしまう。

気が付くと、涙が頬を伝っている。

幸恵が見た涙も、そんな涙だった。


小夜子に涙は似合わない。

どんなに辛い時も悲しい時も、ついぞ涙は見せない。
“泣いたら負けよ、負けたら終わり”
そんな思いが、小夜子を縛り付ける。
“悲しくもないのに、どうして涙が出るの?”
自問しても、答えが出ない。