長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(四) | toshichanのブログ

toshichanのブログ

【遅れてきた新人】の、内山敏洋 と申します。 蔵の中に溢れかえっている作品や頭の中に湧き出てくる作品を“どんどんと!”と、考えております。

しかし何が幸いするのか、分からんものだ。
『ずっと、厠掃除をやらせていただきます』
なんて、武さんが言い出して。

しかしそのおかげで、口で罵られることはあつても、殴られることはなくなった。
『厠の臭いが移るぞ』という軍曹のひと言で、ぴたりと収まった。

武さんには分かっていたのか、それとも話を付けていたのか…。
まったく凄いお方だ。

更には、『厠は、宝の山なんだよ。
開けてビックリ玉手箱だって』と言い出す始末だ。

始めは何のことか分からなかったが、実際の戦況を知ることができたし、下士官たちの下世話な噂話も耳に入ってきた。

そのことで、多少のおいしいこともあったし。
しかし何と言っても一番の収穫は、終戦の情報だ。

上官の話では、本土決戦だ! なんて勇ましい話を聞かされたけれども、その裏では、せっせと物資を隠匿してやがった。

もっとも、この情報のおかげで、富士商会を立ち上げることが出来たんだがな”