とは言っても、若い女のエキスは良いものだ。
匂いからしてが、違う。
年増になればなる程、すえた匂いがする。
俺にしてからが親父臭が漂っているだろうから、お互い様か。
すえた匂い、言い換えれば母親の匂いかもしれん。
子供の頃にはその匂いを嗅ぐだけで、何故かしら安心したものだ。
小学五年か六年だったと思うが、こんな話を聞いた。
「夜中に、歯が痛み出してさ、参っちゃったよ。
俺んち二人とも夜の商売なんで、俺一人なんだ。姉貴は遊び歩いてるし。
でさ、仕方ないから歯磨きしちゃった。
痛いところを念入りにゴシゴシって。
少しは紛れるんだけど、痛いのには違いないだろ?
お袋が帰ってきたら、ワーワー泣いちゃった。
布団の中でグッと抱きしめてもらったら、不思議なんだ。
痛みが取れてきた。
ククク、お袋の匂いって、薬なのか?」