(六十三)
のっそりと立ち上がりはしたものの、なにをする気にもならず、
先日買い置きしておいた菓子パンに手を伸ばした。
いつもならお腹が膨れてくるのだが、今日はまだ空腹感は収まらない。
“今日は特別に、喫茶店で食べるかな”
実のところ、警察を疑うわけではないが、万が一ということもある。
出張ると言っても、すぐにとは限るまい。
どれ程の時間がかかるのか。
その間、どう対処すればいいのか。
“留守だと分かれば、相手も諦めるだろう。
今は法律もあることだし、張り紙やら隣近所への嫌がらせもしないだろう。
とに角部屋に居ちゃだめだ”