(三十九)
「よし、分かった。
それじゃ、こうしようか。
金額をね、減らしてあげるよ。
依頼主さんに交渉してあげるわ。
今ね、三十一万五千円で来てるの。
それをね、丁度三十万円にしてあげるわ」
椅子に腰掛けているせいか、少し興奮状態が収まりつつあった。
相手の話の矛盾点が、分かるようになっていた。
そして声にも、少しながら力がみなぎってくるように感じた。
「ですから、何度も言いますが、人違いなんです。
それにわたし、何度も言いますが、糖尿病なんです。
そちらの方は、まるでダメなんです」