(五十六)
ある日曜日のことだ。
背中を叩かれて振り向くと、民子がいた。
「部活動じゃないのか?」
と尋ねると、ふくれっ面を見せつつ
「お腹すいてるの。バーガー、おごって」
と言う。
どうやら部活において先輩たちと衝突したらしい。
妥協という文字を知らない民子である。
他の一年生部員のように、面従腹背が、心内での舌出しが出来ないのだ。
“女石部金吉だな”と苦笑いをしてしまう。
更には、返事に窮した私に対し
「可愛い女の子を餓死させる気?」
と、畳みかけてきた。
「なんで俺がおごらなきゃいけなんだ!
はバーガーは嫌いだ。
うどんの方が…」
「いいよ、それでも。
あそこの食堂で食べよう!」