(十一)
空はカラリと晴れ渡っている。
何故か、車に乗ることに嫌悪感を感じた。
といって、歩いて帰るわけにもいかない。
車のエンジンをかけるが、どうもエンジン音が気になる。
ついさっきには感じなかったことだ。
そのまま出ようと思ったが、どうにも気になる。
ボンネットを開けることにした。
ひょっとして、彼女が外に出てきて
「どうしたの?」
と声をかけてくれるかも? と、馬鹿な思いが頭を掠めた。
冷却水もオイルも、やはり異常はない。
エアークリーナーを見るが、異常なし。
二・三度スローバルブを引き上げて空吹かしをしてみる。
少し、スローが高いような気がする。
しかし、下げるわけにはいかない。
下げれば、ガソリンの消費も少しは減り、エンジン音も幾分かは静かになるだろう。
しかし、下げるわけにはいかない。
おとなしいエンジンになってしまう。
それだけは、許せない。
俺のポリシーに反する。