(三)
シン公が突然立ち止まり、アコの後ろに回りました。
そしてアコの背中に、人差し指で、何やら書き始めました。
「イヤ~ン!くすぐったい!」
アコは背中を反らして、シン公に止めて! と、言いたげです。
「こらっ!動くなよ。何て書いたか、分かるか?」と、言います。
「えっ!?もう一度、書いてみて」と、アコはシン公にせがみました。
シン公は、念入りに、力を込めて書きます。
その小さな背に、大きくゆっくりと、シン公は書きます。
アコは、慎重に、一つ一つを口にします。
「ア・メ・ガ・フ・ル」
「はいっ、ご名答! じゃ、次だ!」
「ハ・ラ・ペ・コ・ペ・コ・食いしん坊!」
思わず、後ろを振向きました。
シン公は、白い歯を見せて笑っています。
「ほら、次だ!」
シン公の大きな手が、アコの頭を包みます。
とっても大きな、暖かい手でした。